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天気のいい放課後のことだった。同じクラスの慶次と政宗のところに、幸村と佐助がやってくる、いつも通りの放課後。 今日は部活も休みで、放課後を好きに時間に当てられる。ゲーセンに行こうだのカラオケに行こうだの、もうかれこれ三十分は喋っている。 元就だけが話に参加せずに知らぬ顔で本を読んでいた。 カラオケに行こうか、という話にまとまりかけたところで、教室の扉が勢い良く開いた。元就以外の四人がそろってそちらを向く。扉のところに、生徒会長お気に入りの後輩が立っていた。 刃の色に似た銀色の髪を持ち、鋭い眼差しが特徴的な生徒だ。名前は石田三成という。生徒会長の豊臣秀吉を盲目的に信奉し、副会長の竹中半兵衛を異常なまでに敬愛しているという、あまりお近づきにはなりたくないタイプだ。彼の前で会長、副会長の悪口を言おうものなら、斬滅された挙句に退学を迫られるという話があるくらい凶悪と噂されているのだ。 そんな彼がどうして先輩である慶次たちの教室に来たのだろうか。四人は顔を見合わせ、首を傾げる。 三成は躊躇いもせずに教室に入ってくると、真っ直ぐ慶次に詰め寄った。鋭い視線が慶次を射抜く。 慶次はたじろぐようにわずかに後退した。彼に何かをした覚えもされた覚えもないのに、何故か気圧されてしまったのだった。 「前田慶次、責任をとれ」 三成の口から出た言葉を聞いても、慶次には全く心当たりはなかった。 「ちょっと慶ちゃん、アンタ今度は何やらかしたのさ」 「わかんねーよ。何もしてない、と思う」 「じゃあ何の責任とれって?」 「知らないよ!」 こそこそと佐助と話し合うが、本当にわからない。困っておろおろしていると、苛立った様子の三成に腕を掴まれた。細いくせに力は強く、ちょっとやそっとじゃ離してくれそうにない。 「責任を取れと言っている。拒否は認めない」 「ちょ、ちょっと待ってくれよ。何の責任だか俺にはさっぱり――」 「先週の土曜日のことよ」 三成の後ろから全身を包帯で巻いた男が現れる。彼は大谷吉継といって、大抵いつも三成と一緒にいる怪しい雰囲気の男だ。顔全体を覆う蝶のような仮面らしきものと全身を覆う包帯に一番に目がいく。彼は何故か浮いているが、誰も突っ込んだことはない。 「大谷殿、何か知っているのでござるか?」 先程からずっとポッキーを食べていた幸村が顔をあげる。幸村は吉継とも三成とも微妙に面識があるので、尋ねるのは簡単だった。 吉継はヒヒ、と引きつり笑いを漏らしてからそうよな、と呟いた。突然の登場に内心驚いていた政宗と佐助はいつからいたんだよ、と心の中で突っ込んだ。 「最初からよ」 心を読まれた。気味が悪い。 政宗は目を逸らす。隣では三成に詰め寄られた慶次が、彼にしては珍しく困った表情を見せていた。 「それで、先週の土曜日に何が?」 「先週の土曜日、生徒会室で三成に会ったであろ」 吉継に言われ、慶次は思いだそうと努力してみる。腕を組もうとした途端に掴まれた右手を思い出して、もう片方の手を顎に当てるにとどまる。 先週の土曜日、慶次は休日にもかかわらず学校に赴いた。生徒会長、副会長として仕事をこなす二人の友人に差し入れを持っていったのだ。 この日は以前から三人で遊ぶ約束を入れていたのだが、急遽先生から仕事を回され、生徒会役員の二人は学校に行くハメになった。当然約束は反古になり、腹がたった慶次は先生への腹いせも兼ねて大量のお菓子を持って学校に行った。 よくよく思い出してみれば、生徒会室には秀吉と半兵衛のほかにも誰かいたような……。 「あー!! 思い出した! あんとき半兵衛と話してた!」 確かに慶次が生徒会室に足を踏み入れたとき、半兵衛と話していた男子生徒がいた。だが、そのあとすぐに退室してしまった。挨拶を交わしたかどうかも覚えていない。 疑問符を浮かべる慶次に、三成は苛立ちのこもった視線を投げかける。吉継が楽しげに三成をそそのかした。 「三成よ、ぬしの感じたことを言ってやれ」 「……貴様のせいで私はおかしくなってしまった」 「え?」 「あの日から貴様の顔が頭から離れない。貴様が他の男と話していると腹が立ってしょうがない。貴様の姿が見えないと妙に落ち着かない」 「……それもしかして」 「半兵衛さまに相談すれば、貴様のせいだとおっしゃられた。責任を取ってもらえ、とも」 「竹中の奴楽しんでやがるな」 「竹中殿らしいでござる」 「だから慶次、責任をとって私と一生一緒にいろ!」 願いではなく、命令。 反論しようと口を開きかけた慶次は、何も言えずに口を閉じた。彼の言った言葉が理解できないのだ。三成が告げたその感情は、慶次が常々公言しているものだったけれど、自分がその対象になるとは全く考えていなかったから。 固まった慶次の頭を軽くはたきながら、政宗は楽しげに口元を歪めた。完全にこの状況を楽しんでいる。 「Hey、慶次。どうするよ。後輩からの熱いconfessionだぜ?」 茶化した言葉にも、慶次は反応しなかった。少し心配になった佐助が慶次の顔を覗き込む。佐助は思わず声をあげた。 「慶ちゃん、顔真っ赤」 俯く慶次の顔は、誰が見てもわかるほどに真っ赤だった。佐助が呟いた途端、慶次は首まで赤くして我関せずだった元就に抱きついた。恥ずかしくてしょうがないのか、目元が潤んでいた。 「やめよ! 抱きつくでない!」 「慶次貴様! 私以外の男に抱きつくな!」 暴れる元就を押さえつけるように背中に顔を埋め、慶次は何度も首を横に振った。三成の告白を一瞬でもまんざらでもないと思ってしまった自分が信じられなかった。 +end+ +++++ 三慶\(^o^)/ もう慶次が三成に押されて押されて押されて受け入れちゃって、そのうち食べられたらいいと思うよ! 三慶好きだーーーーっ! 執着にも似た三成の愛情がたまらないのですww 2011.01.22. |