「ルーク殿、ルーク殿、ルーク殿ぉぉぉっ!」
 見えるはずのない耳と尻尾を思い切り振りかぶって、幸村がルークの腰に抱きついてくる。身長はルークと同じくらいのはずなのに、どこか子供のように見えるのは何故だろう。子供というより子犬の方が近いけれども。
 朝からずっとこの調子で抱きつかれているルークは、たまりかねて助けを求めた。
「だぁぁぁっもう! うぜぇ!! どうにかなんねーのかよ、佐助!」
 久しぶりに飼い主にあった犬のように、幸村はルークの腰に懐いている。すりすりと顔を押し付けてきて、力いっぱい抱きしめてくる。
 正直に言うと、とてつもなく鬱陶しい。どうにか離れようと暴れてみるが、幸村の方が圧倒的に力が強いため逃げられない。
 呼ばれて一瞬のうちに現れた佐助は、わざとらしく眉尻を下げてみせた。
「うーん。俺様にも無理かな。真田の旦那、ルークちゃんに会えなくてすっごく沈んでたんだから」
「た、ただの風邪だろ!? だいたい、会えないっつったって、三日四日なんだし」
 そうなのだ。
 幸村がこうして抱きついてくるのは、ルークが珍しく風邪をひいたからなのだった。
 つい四日ほど前、ルークは風邪をひいた。ルークは風邪なんて滅多にひかないし、ひいても一日眠れば治ってしまう体質だった。
 だが、今回は違った。今回の風邪は性質が悪く、四日ほど寝込むことになってしまったのだ。屋敷の人間は風邪で苦しむルークの傍には寄りつかず、看病は佐助と政宗がした(ガイは佐助によって追い出された)。幸村も看病したいと言い張ったのだが、叫びまくるわ水は零すわで、ますますルークの頭痛を酷くすることしかしなかったため、痺れを切らした政宗に追い出されたのだった。
 そのため、幸村はルークの風邪が完治するまでルークに近づくことができなかった。それが原因で幸村はルークにべったりとくっついている。
 幸村が言うにはルーク欠乏症だという。
「旦那がどんだけルークちゃんのこと好きか知ってるでしょー?」
「う、そりゃ知ってる、けど」
 思わず言葉に詰まる。
  幸村はルークのことが大好きだと言ってはばからない。二言目にはルークルークと叫ぶのは、ルーク自身わかっている。
 腰元を見ると、幸村はキラキラした目でルークを見上げていた。屋敷の使用人たちから腫れ物のように扱われているルークとしては、幸村の行為は嬉しい。絶対に言葉にはしないけれども。
「だったら大人しく懐かれてなさいって」
 苦笑した佐助が、近づいてきてルークの頭を撫でる。ルークはこくんと頷いた。
 佐助に言われると素直になってしまう自分が恥ずかしくて、そっぽを向いてしまう。それに面白くなさそうな顔をしたのが幸村で。
「ルーク殿ぉ!」
 抵抗しなくなったのをいいことに、幸村は腕の力を強くして、より一層強く抱きついた。ルークから見えない位置で、佐助に向かって舌を出す。不思議そうなルークに顔を覗きこまれると、満面の笑みでルーク殿、を繰り返した。
 その顔があんまり嬉しそうなので、ルークはもう何も言えない。幸村の髪を引っかき回して、一つ、ため息をつく。
「でもうぜぇ……」
 それでも、もう逃げようとはしなかったけれど。






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なんだかふと思いついたので←
幸村はこうやってルークにべたついてるといいなと思います。
アレ? 作文?






2010.03.12.