|
大きな木の幹に寄りかかり、真田幸村は目を細めた。葉と葉の隙間から降り注ぐ光は暖かく、幸村の眠気を誘う。が、幸村は緊張に身を固めうとうとすることさえままならなかった。 何故なら。 「起きてくだされ、ルーク殿……」 幹に寄りかかって座る幸村の膝の上で、最愛の主が眠っているからだ。幸村の膝に頭を載せて、背中を丸める形で穏やかな寝息を立てている。 昼寝を始めてから数十分がたち、幸村の膝もいい加減痺れてきたのだが、幼い寝顔を見ると起こす気もなくなってしまう。寝顔を見られるのならいいか、と思ってしまうのだ。 ルークが警戒心の欠片もなく眠っているのは、ひとえに幸村を信頼しているからだ。しかし、主に対して並々ならぬ気持ちを抱く幸村としては、こうも無防備な姿をさらされると困ってしまう。 無意識に長い髪に手を伸ばしかけて、慌てて引っ込めた。残念なような安心したような複雑な気分が幸村を襲う。 きっと佐助や政宗ならば躊躇いもなく彼に触れ、至福の時を味わうのだろう。けれど、恋情にはとんと疎い幸村は愛しい人に触れるのも躊躇う。 どうしていいかわからなくなるのだ。 「ルーク殿……」 「んぅ……」 起きてくれ、と願いながら最愛の名前を呼ぶ。可愛らしい寝言を返され、がっくりと肩を落とした。 声をかける程度では起きないらしい。起きないからこそ、触れたいという気持ちが大きくなる。 ごくり、と唾を飲んで、そっと淡く光に透ける髪に手を伸ばした。手触りのいい髪が指の間を滑る。 幸村は心ゆくまで髪を梳くと、次に額に手を滑らせた。そして頬に、唇に触れる。下唇を親指でなぞるとルークはくすぐったそうに身を捩った。パッと手を離す。ルークはまた穏やかに寝息を立て始めた。 心臓がバクバクと鳴り続けている。ある意味、戦場に出るよりも緊張したかもしれない。 幸村が一人慌てているにもかかわらず、ルークはすやすや眠り続けている。無言の信頼が今は痛い。起きてくれたら、きっとこの心も押し隠せるのに。 どうあっても起きない主に、幸村にも我慢の限界がやってくる。ほんの少しだから、眠っているから、と自分に言い訳をして、幸村は身をかがめてルークに覆いかぶさった。 ほんの一瞬。 ルークの柔らかな唇と己のそれが重なる。すぐに顔を離して、きょろきょろと辺りを見回した。 周囲に誰もいなくてよかった。 いつもルークにくっついている佐助も、ルークにくっつかれている政宗も、今日に限って出かけている。しかもこの木の下は人目につきにくく、近くに人の気配はない。 だからこそ幸村の自制心が抑えられなかったわけだけれど。 やってしまった、と思うと同時に顔中に熱が集まる。今の自分の顔は真っ赤になっているだろう。大きく息を吐いて、幸村は天を仰ぐ。 「ルーク殿が悪いんでござるよ」 未だ眠り続ける幼い主の顔に、恨み事のように小さく呟いた。 +++++ 捏造万歳!! 幸村×ルークとかどんだけ……← でもいいんだ! 自己満足だから!(言い切るな 書いてて楽しかったです。 |