無性に寂しくなるときというのがあるらしく、そんなときのルークは非常に甘えただった。普段は手を繋ぐだけでも照れ隠しに怒って見せるくせに、こんなときはべったりとくっついて離れないのだ。慶次の背中に背中を預けるだけという、甘えると呼ぶには遠いものだけれど。
 時折すり寄るように身体が動くのに思わず笑いを零すと、ルークからムッとした気配が伝わってくる。そうやって拗ねるから笑ってしまうのだとルークは気づかない。
 込み上げてくる笑みを噛み殺して、慶次はそっと頭を傾けた。こつん、と慶次の頭とルークの頭がぶつかる。互いに髪を高く結っているため、髪と髪が重なった。
「ルーク、あのさ」
「何だよ」
 声音もすっかり拗ねてしまっている。けれど決して離れないのだから、ルークの中で寂しいという感情がとても強いのだということがわかる。そして、それを素直に表す術を知らないということも。
 慶次は勢いよく振り向いて、ルークの身体を抱き締めた。
「うわっ」
「どうせならこっちの方がいいな」
 離れようとじたばた暴れるルークを、少し無理やりに押さえつける。ルークはすぐに大人しくなって恐る恐る背中に腕を回してきた。
「へへ。ルークから抱きつかれるのって嬉しいな」
 恥ずかしがり屋のルークは、手を繋ぐことも子供じゃないと言って振り払う。抱きつくなんてなおさらだ。
 慶次は抱きついたり肩を抱いたりするのが好きだからよくルークにも触れるが、ルークの方から触れてこられたことは少ない。貴重な行動であるため、慶次は顔がにやけるのを抑えられなかった。
「……今の慶次の顔、見なくてもわかる」
「え、そうかい?」
「ぜってー変な顔で笑ってる」
「変な顔って……そんな顔してないって!」
「ぜってーしてる!」
 ふ、と服を握るルークの手に力がこもる。目を丸くしてルークの朝焼けの髪を見下ろすと、慶次と同じように高く結われた髪が微かに揺れた。そっと髪に指を差し入れて髪を梳く。ぐりぐりと胸に顔を押し付けられた。
「慶次って男に抱きつかれて喜ぶのかよ」
「そんなわけないだろ! 俺はルークから抱きつかれるから嬉しいの!」
 大人しくなったと思ったら、とんだ誤解である。慶次が慌てて反論すると、胸元でルークが小さく笑う。からかわれたのだとわかって、少し恥ずかしくなった。
「ホントお前、変な奴」
 それだけ零して、ルークはさらに腕に力を込める。
  慶次には何がなんだかさっぱりわからなかったが、初めの寂しそうな空気が消えているのだけはわかった。ルークがまとう空気が柔らかくなっている。
 何を言ったわけでもないのだが、ルークが元気になってくれたのでよしとする。小さく笑みを零した慶次はルークの方から抱きついてくる貴重な時間を思う存分楽しむことにした。
 抱き合う二人を見つけ、大騒ぎになるのはほぼ一刻後のことだった。






+end+






+++++



無性に人恋しくなりまして。
ルークが寂しくなったときは人にべたべたくっついて甘えてたら可愛いと思います。
慶次だけじゃなくてみんなにくっついて、慶次がショック受けてたら楽しい←
慶次の立ち位置ってそんな感じだと思ってる。






2011.02.01.