それは、朝餉の時間のことだった。
 その日はルークは寝坊をしてしまって、用意をしてくれた小十郎と一緒に朝食をとっていた。政宗は慶次をひきつれて伊達軍の兵士たちの訓練に向かったらしい。
 ご飯を頬張りながら、どうせなら起こしてくれればよかったのに、とルークは心の中で不満を呟いた。
「おい、人参残ってるぞ」
 皿の端に残したものを見咎められ、ルークはびくりと肩を震わせる。そろそろと小十郎を見上げると、不思議そうな顔をしてルークを見ていた。苦虫をかみつぶしたような顔をして、視線を人参に戻す。
「嫌いなんだよ。食いたくねぇ」
 そう言うと、小十郎の視線が鋭くなった気がした。
「あぁ? 俺が作った野菜が食えねぇってのか」
「な、ちがっ。そんなこと言ってねぇだろ!」
 声が低い。こんな小十郎を、ルークはどこかで見たことがある。
 そうだ。執務を逃げ出した政宗を叱るときの小十郎だ。
 こういうときの小十郎が怖いのはよく理解しているので、ルークは慌てて否定する。が、小十郎の視線は和らがない。
「じゃあ人参も食え」
「それは……」
 小十郎の作った野菜が食べられないわけではなくて、単純に人参が嫌いなだけなのだけれど。
 言えばきっと怒られるので、口には出せない。思わず口ごもると、小十郎がルークの隣に座った。政宗に説教するときのように、鋭い視線がルークに向けられる。
「食え」
「……はい」
 ドスの利いた声で言われては、ルークに逆らう術はない。食べたくない気持ちを無理やり押し込んで、ルークは人参を口に入れた。
 それから毎日人参が出るようになるとは、このときのルークは思ってもいなかった。






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人参嫌いのルークは絶対小十郎に言われてると思いまして。
オトンは好き嫌いを許しません(笑)
「俺の作った野菜が食えねぇってのか」が書けて満足ですvV






2010.03.18.