綺麗だ、という言葉は景色や宝に使いこそすれ、人に使ったことはなかった。
 女子を前にすればそもそもまともな話をすることさえできず、男に向かってなどもちろん使うはずもない。
 けれど彼の人には、綺麗だという言葉しか思い浮かばなかったのだ。
 最初に見えたのはその髪の色。
 日の光に透ける朱色がこの世のものとは思えないほど美しくて、目を奪われた。先に声をかけたのは某だったのに見惚れて動けずにいた。
「旦那?」
「え? あ、いや、あの、」
 佐助の呼びかけに我に返り、しどろもどろになりながら彼らの輪に入る。慶次殿の腕の中にいる彼の人から無理やり目を離して、慶次殿に挨拶をした。
 慶次殿が羨ましいなんて思っておらぬ!
「よく来てくださったな、慶次殿」
「鍛錬お疲れ、幸村。相変わらずの戦バカだな、アンタは。恋の一つでも覚えたのかい?」
「なっ! 破廉恥でござる!!」
 毎度のことながら慶次殿は破廉恥だ。某がその手の話を苦手としているのを知っていてわざわざ話題を振ってくる。
 恨めしいぞ、慶次殿。
 慶次殿を一睨みしてから次は彼の人に向き直った。
「え、と……?」
 首を傾げて紹介を待つ彼の人を真正面から見ると魅入られて目が離せなくなった。
 淡い朱色と対照的な翡翠の瞳が珍しそうに某を覗き込む。遠目で見るよりも幼い顔立ちをしている。
 どくり、と心の臓が駆け出してどんどん速くなっていく。
「幸村どうしたんだ?」
「んー、どうしちゃったんだろ。こんな旦那は初めて見るから俺様わかんない」
 慶次殿と佐助が何か話しているが、全く耳に入ってこない。某の全ては今、彼の人に向かっている。
「そ、某、真田源次郎幸村と申す。お主の名は何と?」
「ルーク、だけど」
「ルーク殿と申されるか!」
 某の大声にびくつくルーク殿を知りながら、それでも勢いが止まらず手を握る。細い手は柔らかくて暖かかった。
「ルーク殿、某と仲良くしてくだされ!」
「お、おう」
 戸惑いつつもルーク殿は頷いてくれる。嬉しくてぶんぶんと握った手を振ってしまった。
 このような綺麗な方と知り合いになれたことにとても心が弾む。
 勢い余ってずっと振り続けているとうぜぇと怒られてしまった。
「申し訳ありませぬ……」
「そ、そんな落ち込まなくてもいいだろ!」
 肩を落として手を離す。するとルーク殿は慶次殿の腕から離れて某の頭をくしゃくしゃと撫でた。
 雑な手つきが心地よくて目を細めると、慶次殿と佐助が思わずといったように噴き出した。
 な、何を笑っているのでござろう。
「旦那があんまりおもしろいからだよ」
「幸村らしいっちゃらしいよな」
 子犬と子猫みたいだ、と二人が笑う。それに某とルーク殿がそろって吠えた。






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キャラの口調がわかりません。特に幸村。
特徴的すぎて逆にどうしようもないよぅ……。
でも、ルークに無意識一目惚れしたのは書けたかと。
てゆうかこの幸村ルークのこと綺麗綺麗言いすぎだよ(笑)
四人一緒の場面にいさせるのが難しいです。
佐助と慶次が空気だよ!
慶次がルークを抱きしめたのもほとんどスルーだし……。
もっと勉強します!