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朝ごはんを食べて、城下に出かけるための準備をしているときだった。 その人が乱入してきたのは。 そのときのオレは慶次と幸村と佐助と、それからかすがも一緒に出かけられるのが嬉しくてはしゃいでいた。慶次とはいつも一緒にいるけど、幸村とか佐助と出かけるのはそんなになかったし、かすがと一緒なのもドキドキするけど(だってすげーキレーだし)一緒に出かけられるのは嬉しい。オレだけ先に出て、早く早くとみんなを急かした。 幸村と並んで門のところに行こうとすると、途中で慶次がうげ、と情けない声を出した。かすがを除くオレたち三人が慶次を振り向く。かすがだけが悟ったような顔でため息をついた。 「慶次?」 「見つけましたよ、慶次!」 立ちふさがるように現れた女の人。頭にバンダナを巻いて肩までの髪をまとめている。手に持っているのは薙刀、だったっけ。とにかく、それを地面に突き刺して、彼女は腕を組んだ。 「また上杉殿にご迷惑をおかけして! どれだけふらふらすれば気が済むのですか」 なんとなく佐助や小十郎を連想させる人だ。こう、説教してるのが。 そう思っていたら、オレの頭の中を読んだらしい佐助に頭を叩かれた。 「ごめん、まつ姉ちゃん! でも俺、まだ帰る気は――」 「問答無用! 今日という今日は許しません!」 咄嗟に逃げようとした慶次を、まつ姉ちゃんと呼ばれた女の人が捕まえる。首根っこを掴まれてまるで猫みたいだ。 オレの知ってる慶次はどっちかっていうと人を手玉に取る方だったから、頭があがんない人がいるなんてびっくりした。 「まつー、慶次はいたかー?」 『まつ姉ちゃん』のショックから抜けきらないうちに、新たな人物が現れた。 その人は上半身が裸同然で、下には申し訳程度に防具をつけているという、びっくりを通り越して引くような格好をしていた。手には幸村とは違う形の、先が三つに分かれた槍を持っている。 その男は慶次を見ると眉尻を下げた。 「慶次、ここにいたのか。今回は長かったから心配したぞ」 「う……悪い、利」 慶次はこの人にも弱いらしい。すごく申し訳なさそうな顔をしている。 心配そうだった男の顔が目に見えて明るくなって、その隣で『まつ姉ちゃん』が「犬千代様は慶次に甘すぎます」と困ったように言った。 ほのぼのし始めた三人とは対照的に、オレと幸村はわけがわからず顔を見合わせるばかりだ。後ろの忍二人はわかっているようだったけど、説明されなきゃわからない。というか、今日出かけるのはどうなるんだろう。 視線を彷徨わせていると、気づいた慶次が立ち上がろうとする。けど、『まつ姉ちゃん』に引っ張られてそれは叶わなかった。 「さあ、帰りますよ慶次。帰ったらお説教です」 「だからまだ……!」 「慶次、さすがに今回は庇ってやれないぞ」 ずるずると引きずられながら、慶次は連れていかれる。オレの名前を呼んで手を伸ばすけど、その光景にまた呆気にとられているオレは引き止めることなんかできなかった。すっかり姿が見えなくなってから、ようやく言葉を発する気力が戻ってくる。 「あれ、何なんだ?」 呆然と零したオレの問いに答えてくれたのは、微妙な顔をしたかすがだった。 +++++ ここで慶次が一時離脱です。 ちょっと入れたい話があったりします。 でも慶次は毎回こんな感じで連れ戻されてると思うんだ……。 2010.09.28. 次 |