森から歩いていって、人のたくさん集まる街に出た。
 京の都、と慶次は言った。毎日祭りみたいに騒がしくてケンカも時々あったりして、でもすごく温かい街だって。
 オレには祭りがどんなものかもわからなかったけど、慶次が言うからにはきっと楽しいんだろうな。だって慶次はずっと笑ってる。
「あれが薬屋。こっちは着物屋だな。そうだ、お前さんの着物も買わなきゃいけねーなー」
 オレが異国(異国ってどこなんだろう。というか、ここがどこかもわからねぇ)から来たと思い込んでる慶次は何から何まで全部説明してくれる。その中には知ってて当然の言葉もあったんだろうけど、慶次はオレが当たり前のこと知らなくても何も言わなかった。
 何も知らないこと、何も覚えてないことを散々バカにされてきたオレは、それがすごくすごく嬉しくてちょっとだけ泣いてしまった。
 ちょっとだけ、ちょっとだけなんだからな!
 今は人の多い街の中を慶次と手を繋いで歩いている。
 慶次の背はオレよりちょっと高いくらいだけど、手はオレよりも大きい。安心する、なんて絶対言ってやんないけど。
「慶次、あれ何だ?」
「あれ? あれは甘味屋だ。簡単に言うと甘いもの食べるとこなんだけど、わかるか?」
「そ、そんくらいわかるってーの!」
「そっか」
 強がって言い返すけど、慶次はわかってますって顔で気にもしてない。オレが強がってんのがバカみたいだ。
 大人なんだよな、慶次は。
 じっと甘味屋を見ていると、慶次がそっちに歩いていく。手を繋いだままだからオレもついていくことになる。
 何をするんだろう。
 不思議に思って慶次を見ていると。
「おばちゃん、団子二皿ちょうだい」
「あいよ! あらあらあら慶ちゃん、可愛い子ねぇ。やっといい人でもできたのかい?」
「いい人っておばちゃん……」
「照れない照れない」
「いや、こいつ男なんだけど……って聞いてないねこりゃ」
 慶次が甘味を注文した。甘味屋の主人である女の人とは仲がいいらしくて、楽しそうに話している。オレたちは店の前の椅子に座って団子? を待つ。
 団子ってなんだろう。甘味だから甘いんだよな。
 店の中に注文を伝えたおばちゃんはお盆を抱えて慶次の隣に座った。おばちゃんが慶次と話してるせいでオレは何もすることがなくなってしまった。
 なんかつまんねぇ。
 慶次が繋いだ方の手を椅子について、オレの手を下敷きにしているから、ふてくされて背を向けることもできない。
 構えバーカ。
「おやおや、拗ねちゃったのかい? ごめんねぇ。慶ちゃん返すから機嫌直してくださいな」
「なっ。拗ねてなんかねぇ!」
 慶次よりおばちゃんの方がオレの不機嫌に気付いてからからと笑う。図星をさされて顔が熱くなる。
 慶次まで一緒に笑ってるし、何だよっ。
「悪かったってルーク。団子も来たことだし、機嫌直してくれよ」
 頬を膨らませるオレに、慶次が団子を差し出す。赤と白と緑の三つの丸いものが串に刺さっている。しばらくそれを眺めてから、恐る恐る食いついてみる。
 ……うまい。
「だろ? ここのは京一番なんだよなー」
「もう慶ちゃんったら、お世辞言っても何も出ないわよ」
「お世辞じゃなくて事実だよ」
 三つ目を食べ終わって、慶次から食べさせてもらったのに気づいた。慶次は気づいてないっていうより気にしてないみたいだ。
 これって当然なのか?
 そう思って周りを見るけど食べさせてもらってる奴なんか誰もいない。
 は、恥ずかしい……!
「ん、どした?」
「べ、別に、何でもねーよ! そ、それより、もう一本くれよ」
 今度はちゃんと自分で食べる。
 そういう意思表示のつもりで左手を出す。右手は相変わらず慶次の手の中だ。
 なのに、オレの左手を無視して慶次はオレの口元に団子の刺さった串を差し出した。おばちゃんがお邪魔者は退散しましょうか、とわけわかんねーこと言って別の客のところに行った。
「はい。どーぞ」
 楽しそうな慶次がすっげームカついた。






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ナチュラルにいちゃつく二人(笑)
慶次は実際面白がってるだけです。
ルークがわくわくしてるのとか拗ねてるのとか慌ててるのとかが手に取るようにわかるので(長髪ルークって顔に出る方で素直だと思うんだ)からかってるんです。
長髪可愛いよ、長髪。
手を離さないのも確信犯(てへっ(てへっじゃない
次はあれだ。
幸村と佐助に会わせたい。
というか、今度は幸村&佐助&政宗in深淵で仲間厳しめ書いてみたいなあ……。