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朝餉の時間になっても起きてこないから、私が彼らを起こしに行くことになった。 前田慶次とルークは離れに、佐助の主は急ごしらえの部屋でなくちゃんとした客間に案内したにもかかわらず、皆ルークと寝たいがためにそろって離れにいるらしい。しかも佐助まで。全く何を考えているんだか。 そう憤慨すると、執務をなさる謙信様は柔らかく微笑みなさった。全てわかっていらっしゃる笑みだった。 今日も謙信様はお美しい。 謙信様を思い出して浮上した心も、離れについた途端に落ち込んでしまう。中にある気配はもはや馴染みとなってしまったもの。部屋の外にまで聞こえる大いびきにため息をついて、一応声をかけてから襖を開いた。 部屋の真ん中で大の字になって高いびきをかく前田慶次。その隣でやはり大の字で眠っている真田幸村。前田慶次の逆隣に丸くなって穏やかな寝息を立てているルーク。それを崩れた表情で見ている佐助。 当然のことながら佐助は起きていた。 「佐助、起きているんならさっさとそいつらを起こせ! 朝餉を食べないつもりか」 「んー。そんなつもりはないんだけどね。そうなったら真田の旦那うるさいし。……ルークちゃんの寝顔見てたかったからさ」 そう言って佐助は、ルークを起こさないように優しく朝焼けの髪を撫でる。見たことがないほど柔らかな表情だ。 人に感情を殺せ、忍は道具だと散々言ってくるくせになんだそのだらしない表情は。 「言いたいことはわかるよ。らしくないのはわかってるさ」 それでもルークの傍は心地いいんだと、佐助はやはり穏やかな表情で。 変わったなと思う。 佐助はもともと才能もあり、忍として重要な心を殺すことにも長けていた。けれどその一方で、忍としての猿飛佐助と、捨てきれない人間である猿飛佐助に苦しんでいる節があった。どんなに笑顔を浮かべてもどこか翳があったのだ。 それが今はすっかり無くなっている。真田幸村が救いあげ、ルークが変えたのだろう。 普段毛嫌いしているとはいえ同郷のよしみだ。わずかほどの情もある。 素直によかったと思えた。絶対に口には出さないが。 「まったく、そんなことはどうでもいいんだ。早く起きろと言っている。たるみすぎだぞ、お前たち!」 声を大きくして怒鳴りつける。 すると真っ先に目を覚ましたのはルークだった。眠たげな目を擦りながら身を起こす。寝起きでずれた着物を直すこともなくぼんやりと私を見て、こてんと首を傾げた。 「かすが?」 「……っ!」 舌っ足らずな口調に胸を射抜かれる。なんて可愛らしいんだろう。 私が倒れ込むと、すっかり目を覚ましたルークが心配そうに近づいてこようとした。が、佐助がそれを止めた。 「おはよ、ルークちゃん。かすがのあれは癖みたいなもんだから気にしなくていーよ」 「そうなのか?」 「そうなの。それより、旦那方、いい加減起きてよねー」 主に対する態度とは思えないほど乱暴に主を叩き起こし、ついでに前田慶次も起こす。そのおかげでルークの意識はすっかり二人にいってしまって、眩しい笑顔で挨拶を交わし始めた。 いちいち邪魔をしてくれる……! 良かったなんて思うんじゃなかった! 「佐助の馬鹿!」 佐助の意地悪そうな顔に苛立ちを抑えきれず、またしても苦無を投げた。 +++++ かすがちゃんがルークにメロメロになってればいいと思う← 2010.07.23. 次 |