「恋ってのはいいもんだねぇ」
 謙信の隣に腰を下ろし、酒を飲む。視線の先には、じゃれあうルークと幸村、それを見守る佐助の姿がある。
 見ててわかる。幸村も佐助も、恋してるんだって。
「それはそなたもですよ」
 静かに酒を口に運びながら、謙信が言う。いつも通りの穏やかな口調に、さらに優しいものが混ざる。
 鷹揚に、甲斐の虎も頷いた。
「風来坊よ。そなた、先日甲斐に来たときとは顔つきが変わったのう」
「そうかなぁ?」
「よいかおつきになりましたよ」
 自分ではそんなつもりはないけど、謙信も虎のおっさんも俺が変わったっていう。それは多分、ルークへの気持ちを自覚したからなんだろう。
 失うのは怖い。だけど、今度こそ守ってやりたい。俺が幸せにしたいって、そう思ってるから。
「そなたも、とらのわこも、しのびも、よいかおをするようになりました。かれがかえてくれたのでしょうね」
「うむ。不思議な子供よ。あ奴がいるときは戦のことも忘れられるのだ」
「ときにそれはひつようなことでございましょう」
 二人の優しい眼差しに、なんだか誇らしげな気分になった。今のところ俺の弟みたいなものだから、兄として鼻が高いってとこかな。
 ほら、ルーク。
 アンタはちゃんと好かれてるよ。
 心の中で呟きルークの方を見ると、酒に酔ったのか、赤い顔で幸村に懐いていた。猫が甘えるようにすり寄って、嬉しそうに笑んでいる。あんな可愛い顔、俺も見たことがないんだけど。ちょっと悔しい。
「前田慶次?」
 ちゃっかりと謙信の後ろに控え、酌をしていたかすがちゃんが、俺の不穏な気配に気づいたらしい。怪訝そうな顔に、何でもないと手を振って誤魔化した。
「俺も混ざってこようかな」
 盃に残った酒を一気にあおり、立ち上がる。謙信と虎のおっさんに断りを入れて、その場を離れた。俺の背中を追いかけるように、謙信が声をかけてくる。
「たいせつにするのですよ、けいじ」
 不意に、彼女の笑顔が脳裏に浮かんだ。






+++++



かすがちゃんの影が薄い……。
ずっと謙信様の近くできゅんきゅんしてましたってことで。
謙信様と信玄公は見守る感じです。
みんなの親みたいですね(笑)






2010.04.04.