酒宴に参加する前に、オレと慶次は信玄のおっさんと上杉謙信に会いに行くことになった。
 信玄のおっさんは優しい人だって知ってるけど、上杉謙信はどんな奴か知らない。だから、オレはらしくなく緊張していた。
 隣で慶次が微笑ましそうに笑っていた。ちょっとムカついたから背中を叩いてやったけど。
「そなたがあかつきのこですか」
 涼やかな声で話しかけられて、オレはこくりと頷く。
「うわさどおり、きれいなかみをしていますね」
 上杉謙信は、すごく綺麗で冷たそうに見えるのに、優しい雰囲気を持った人だった。盃を持つ手は細くて、なんだかドキドキしてしまう。男だと思ってたけど、男だか女だかわからない。
 その上杉謙信の隣で、かすがが胸を押さえて倒れ込んでいた。
 大丈夫なのかと慶次と謙信を見比べると、二人とも苦笑いを浮かべた。
「いつものことだからさ」
「つるぎよ、あかつきのこがおどろいていますよ」
「も、申し訳ありません!」
 かすがは慌てて謝ったけど、頬はまだ赤く染まっていた。
 慶次がこっそりかすがは上杉謙信が好きなんだと教えてくれる。だからああなのか、と納得する。人を好きになるとあんな感じになるのか。
「ちょっと違うと思うんだけど……」
 佐助のツッコミも耳には入らない。
「謙信、虎のおっさん、いきなり来て悪いな。ルークにいろんな世界を見せたくてさ」
「構わぬ構わぬ。宴は人が多い方がよかろう。参加していくがよい」
「けいじもあかつきのこも、ともにのみましょう」
 慶次が断りを入れて、信玄のおっさんと上杉謙信が許可する。
 二人がにっこりと笑うのに、オレは大きく息を吐いた。体中の力が抜ける。緊張しすぎてガチガチに固まってたみたいだ。
 その様子をばっちり見てたらしい上杉謙信が、くすくすと笑った。
「そうかたくならずともよいのですよ」
「お、おう」
「じゃ、ルーク。座るか」
 慶次に連れられて、幸村たちの隣に座る。オレたちが座ると、宴会が再開された。






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謙信様と信玄公難しい……!






2010.03.23.