前田のところの風来坊がまた勝手にやってきたという情報が入り、私は重い腰を上げた。
 今日は甲斐の虎が越後に来ていて、佐助やその主もここにいる。ただでさえ大変なのだからこれ以上面倒を増やさないでほしい。
 屋敷の表門に行くと、前田慶次ともう一人、男だか女だかわからない子供が立っていた。相変わらず派手な格好の前田慶次が私に気付いて大きく手を振る。
「おーい。かすがちゃーん」
 ああ、煩わしい。こんな男が謙信様の友人だなんて。
 嫌な顔を隠そうともせず、二人の前に立った。
「謙信に会いに来たんだけど、いるかい?」
「あの方は今お忙しいんだ。さっさと帰れ……」
 ふと子供の方に目を向けて、私は硬直した。
 朱色の長い髪、澄んだ翡翠の瞳、白磁のような肌、この国にはいない整った顔立ち、男とも女とも取れる中性的な着物。どれもが私の目を引き付けて離さない。
 謙信様以外に初めて、心が騒ぐのを知る。
「お前は……?」
「オレ?」
 首を傾げるともっと幼く見える。胸の奥が締め付けられるような感覚が襲ってくる。
 声を聞けばそれが男のものだと知れた。
「オレはルーク」
 不自然に目を逸らされる。私が何かしただろうか。
 くしゃり、と前田慶次が朱色の髪を撫でた。
「訳あって俺が預かってる異国の子だよ。ちなみにちゃんと男の子だから」
「何だよそれ! 言われなくたってオレは男だっつーの!」
 大声を上げて前田慶次に噛みつくルークという子供。私がじっと見ているのがわかるとバツが悪そうに視線を逸らした。
 可愛い……。
「かすがちゃん?」
 前田慶次の声に我に返る。私は取り繕うように慌てて言葉を放った。
「し、仕方がないから、中に入れてやる。ただし今日は客人が来ているから大人しくしていろ」
「ありがと、かすがちゃん」
「……ありがとう」
 二人を招き入れ、部下に二人を任せると、私は謙信様に知らせるために姿を消した。
 二人を招いたのはもう日も落ちようとしているからだ。あの子供が可愛かったからとか、髪に触れてみたいからとか、話をしてみたいからとかいう理由では断じてない。
 ないったらないんだ!






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かすがちゃんがルークに絆されました(笑)
メロメロしてるかすがちゃんは可愛いです。
謙信様と一緒にルークのことを美しいって言ってたらいいと思います。
妄想万歳!