ルークたちがいる間、ルークの希望で食事は一緒に取ることになっていた。政宗様はともかく臣下である俺もだ。
 今晩もそのために客間に行き皆がそろうのを待つ。
 政宗様と風来坊が入って来て、それに続いて言いだしたルークが入って来て俺の隣に座った。初日に政宗様がルークを怯えさせたため、政宗様を抑えられる俺の隣はルークの特等席だ。
「Come on,honey」
「ぜってーヤダ」
「Shit! つれねぇな」
 このやり取りも毎回繰り返されれば見慣れてしまう。
 報われない政宗様が可哀相になってくるが、女の扱いには慣れているはずの政宗様が不器用にルークに迫るのは見ていて微笑ましい。それが満たされないものを虚しく求めるだけの行為ではないとわかるからだ。
 だが、今晩はいつもと少し違った。今朝まで口を挟んでこなかった風来坊が政宗様をつついたのだ。
「振られたねぇ、独眼竜」
「Shut up! 『お兄さん』は黙ってろ」
「やるのかい?」
「いい度胸だ。独眼竜は伊達じゃねぇぜ」
 食事もそこそこに立ち上がる二人。
 何だってんだ、一体。
 俺は呆然とそれを見送る。
 政宗様と風来坊はその辺にあった木刀を手に取り打ち合い始めた。空は日が沈み暗くなり始めている。
 暗くなっても戻ってこなけりゃ止めに行くか。今は食事が先だと主を放り出す。
「バカじゃねーの、ホント」
 俺と同じように庭に目を向け、箸を咥えたままルークが呟いた。
 何かを知ってるらしい、と視線を落とすと、ルークの目が真っ赤になっていることに気がついた。痛々しくてルークの目許に手を当てる。
「目ぇ赤いぞ。泣いたのか」
「う……」
 コイツが口ごもったときは大抵正解だ。何があったか知らねぇが、目が赤くなるほど大泣きしたのか。
 政宗様と一緒にいたはずだが……と思わずため息をつく。
「後で冷やしとけ。明日腫れるぞ」
「ん」
 返事とも取れない曖昧な言葉を漏らし、ルークは目を閉じた。手首を掴んで俺の手のひらで瞼を覆う。
「いいんだ」
「何がだ?」
「嬉しかったから」
 ルークが何を言いたいのか、俺にはわからない。
 だが、ルークが嬉しそうにしているからいいかと思ってしまった。ルークの顔は俺の手で覆われほとんど見えないが、声が笑っているように聞こえる。
「そうか」
「うん」
 はっきりとルークの口が弧を描く。幼いくせに妖艶な笑みだ。
 俺は手を離すと今度こそ食事に向き直った。外ではまだ二人が打ち合っている。よくもまあ元気なことだ。
「ほら、さっさと食っちまえ」
「おうっ」
 やっぱりルークには笑顔が似合う。口にすると、真っ赤な顔で反論された。
 このところ元気がなかったから心配していたがもう大丈夫そうだ。






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こじゅは争奪戦には加わらないそうです。
完全に政宗様を見守ってるよこの人。
多分このへんで奥州編は終わりかもです。
謙信様のとこ行くくらいまでは考えてるんですけど、そのあとどうしよう(ぇ