政宗様が見つけたルークという少年は人攫いの被害者で、帰る方法もわからないがために前田の風来坊に付き合って旅をしているらしい。
 風来坊とルーク自身に聞いた話によるとそういうことだった。
 確かに何にも目を輝かせて尋ねてくるところや気配を消すことさえ知らないところは間者とはとても思えない。
 疑ったことを素直に謝ると目を丸くされた。可愛らしいと思ってしまって、政宗様の想いに納得した。無理やり連れて行こうとするところはどうかと思うが。
 そんなルークは俺の農園に興味をもったらしい。野菜を珍しげに見ては恐る恐る手を伸ばしている。
 そんなに珍しいもんでもないだろうに。
「そりゃ人参だ」
「ニンジン? これが?」
 しゃがみこんでいる先を見てみれば、先ほど抜いたばかりの人参があった。それが人参だとわかるとルークは感心したような嫌なような顔をした。
 人参が嫌いなのか。
「見たことねぇのか?」
 思わず呟くとルークが一気に不機嫌になった。
 どうした、と訊けばしょーがねーだろ、と睨まれる。不覚にも綺麗だと思ってしまった。
「屋敷に閉じ込められてて野菜育ててるとこなんか見たことねーんだから」
 きつい翡翠の瞳にそれ以上聞くなと言われているような気がして、続けるはずだった言葉を呑みこんだ。代わりに別のことを口にする。
「じゃあ、やってみるか?」
「何をだよ」
「畑仕事だ。野菜抜いたり水やったり……政宗様も伊達軍の兵士もつまらねぇと言ってたが、」
「やる! やってみてぇ!!」
 暗い雰囲気が消え、翡翠が輝く。まるで子供みたいだ。
 風来坊が頭を撫でたくなるのもよくわかる。
 俺も頭を撫でてやって、それから邪魔にならないように髪を結んでやった。頭の後ろで高く結べば髪の色も相まって傾奇者(かぶきもの)のようだ。
「お、これいいな」
「楽だろう?」
「うん。慶次とおそろいだ」
 政宗様を虜にした朱色の少年はふわり、と顔を綻ばせる。
 ……政宗様、報われる気がいたしませんが。
 嬉々として畑仕事を手伝うルークを見ながら彼を妻にすると言い出した主を思った。
 多分政宗様の最大の敵は前田の風来坊だろう。ルークの一番近くにいるのは彼だから。
 また厄介なことに首を突っ込むお方だと頭を抱えてしまった。






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とりあえず、ルークは畑仕事とか嫌いですよね。
初めてやることなので面白そうだと思ったということでひとつ。
小十郎もだいぶルークに絆されました。
早い? いや、ルークはもう天性のタラシなんです。
すぐに人を引き付けるんですよ!!←強く主張
小十郎は政宗応援ってことでいいのかな。
包容力は政宗よりもあると思いますが(笑)