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とある事情で隣国マルクトへと飛ばされてしまったルークが帰還したという知らせが入ってきた。ルーク探索の任からは外されてしまった幸村はその知らせをずっとずっと待ち望んでいた。 知らせを聞いた途端、幸村は真っ先に屋敷を飛び出し、ルークを迎えに走った。ルークの名前を叫び続けるものだから、バチカルの民はしていたことを止めてしまう。しかし、それが幸村だとわかると苦笑を浮かべてそれまでの仕事を再開した。 最愛の主の名を叫ぶ幸村の存在は、バチカル中で知られているのだ。 走りに走りバチカルの入り口に辿り着くと、夕焼け色の髪が目に入る。幸村は全速力で彼の人に向かって走っていった。 「るぅぅぅぅぅく様ぁぁぁぁっ」 さながら飼い主を見つけた犬のように、ルークに向かって駆けていく。勢いを緩めることなくルークに抱きつこうとすると、その両隣を占める政宗と慶次に寸前で止められた。 「Stop! 真田。その勢いで抱きついたらルーク様が潰れるだろうが」 「もうちょっと落ち着いて。な?」 二人にそう諭されしゅんとなる幸村に、その様子を苦笑しながら見ていたルークが手を伸ばした。白くて細い手が柔らかな茶髪をかきまぜる。 「そんな顔してんじゃねーよ。ちゃんと帰ってきただろ」 照れ隠しか、顔を背けるルーク。しかし、覗く耳は真っ赤に染まっていた。再度目を輝かせた幸村は今度は勢いを考えてルークに抱きついた。 「真田!」 「ちょ、幸村!」 「ルーク様が無事でよかったでござる!」 「だーっもう! 抱きついてくんじゃねぇー!!」 離せと腕を突っぱねるルークが、口で言うほど嫌がってはいないのが見てわかる。 屋敷の中でも、ルークと幸村はいつもこんな感じなのだ。呆れたような視線を向けながらも、政宗と慶次はもはや恒例となってしまったその光景を微笑ましく見守っていた。この突発的な旅ですっかりルークと打ち解けた導師イオンも、楽しそうですねぇ、と笑うばかりだ。 だがしかし。 「ちょっと、いきなり何なの!? あなたたち、ここがどこだかわかっているの?」 どこぞの勘違い女が、苛立ちを隠さないまま口を挟んできた。自分の知らないことがあるのが気にくわないらしい。 彼女の隣で、導師守護役やマルクトの軍人も説明を求めてきた。 「あのー、アニスちゃん、何がなんだかわかんないんですけどぉ〜?」 「感動の再会もよろしいですが、説明してくれませんか?」 その声にはっと我に返ったルークが、幸村の腕から逃げだす。 ここが屋敷の中でないことを思い出したのだろう。恥ずかしさゆえに首まで真っ赤に染まっていた。 ルークに逃げられて、幸村は非常に残念そうに肩を落とした。 ほのぼのとした空間を壊され、政宗も慶次も眉を顰める。そもそも、王族であるルークにこのような口をきくことが不敬だと、彼女は知っているのだろうか。もちろん、知らないからこそのこの行動なのだろうが。 重いため息をつき、政宗がキムラスカの軍に知らせを入れようとしたそのとき、ファブレ家の私兵、白光騎士団が一斉に罪人たちを取り囲んだ。兵士たちの間から、緑の鎧を着た青年が優雅な足取りで近づいてくる。 彼の姿を見た途端、慶次が苦笑を浮かべた。白光騎士団を率いる彼は、慶次たちの中で一番ルークに過保護なのだ。 「日輪の子らよ、ルーク様に害をなす罪人どもをとらえよ!」 よく通る声とともに、罪人たちが捕縛される。かなり整った顔立ちの男、元就は真っ直ぐルークの元へ歩いてくると、その足元にかしずいた。 「ルーク様。無事のご帰還、なによりでございます」 「おう。政宗たちがいたからな。外の世界も見れて楽しかったし、イオンとも仲良くなれたしな!」 「ええ。僕も、ルークと友達になれて嬉しいです」 「それはよかったですね。さて、独眼竜、風来坊。道中何もなかったであろうな?」 彼はルークの言葉に珍しく笑みを浮かべると、すぐに無表情に戻り政宗と慶次を睨みつけた。もちろん、と笑って答える慶次に対して、政宗は肩を竦めるだけだ。政宗の態度にムッとした元就が口を開こうとした途端、ヒステリックな声が割って入る。 「ちょっと、どういうことなの? ルーク、あなたも何か言ってちょうだい! どうして私たちがこんな扱いを受けなくちゃいけないの!?」 元就はその秀麗な顔を嫌悪と侮蔑に顰め、汚らわしいものでも見るような視線で罪人たちを見下ろした。 バカにされていると思ったのか、迷惑な聖女の子孫と職務怠慢の導師守護役がぎゃあぎゃあと騒ぎ立てる。自称和平の使者も、無言で元就を睨みつけた。 「かようなこともわからぬか、愚かな奴らよ」 冷酷な視線が彼らを射抜く。いつも無表情な元就だが、今回の視線はいつも以上に冷たい。 元就の視線が柔らかくなるのは、ルークの傍にいるときだけだ。 元就はルークとイオンを幸村と慶次に預け、先に屋敷に帰らせることにした。人選がこの二人なのは単に元就の評価である。罪人たちを切って捨てるには、幸村は邪魔なのだ。慶次はついで。 「それではルーク様、屋敷へ戻りましょうぞ。シュザンヌ様も心配しておられました」 「ん、そうだな。そいつらは元就が何とかするんだろ?」 「もちろんです。ルーク様は何も心配なされぬよう」 「わかってるって。イオン、オレの屋敷来いよ」 「ありがとうございます。是非お邪魔させてください」 「ちょっと、イオン様!? そんな奴らについていったら危ないですよぉ」 場違いな心配をするアニスを、イオンは顧みようともしない。 明らかな不敬に、彼女を取り押さえていた白光騎士団の一人がアニスに蹴りを入れた。痛みに漏れたうめき声を、誰も気にすることはない。 手を振るルークとその隣を歩くイオンを見送り、元就は罪人たちに向き直った。政宗とともに、愚にもつかない抗議を繰り返す彼らに断罪を下すために。 「ルーク様を危険に晒したこと、後悔するがよい」 「俺たちは相当怒ってるんだぜ、You see?」 +++++ これ仲間厳しめになってるかなぁ……と思いつつ投下。 戦国×深淵です。 この設定楽しいvV こっちに来てるのは、信号機+瀬戸内です。 ナリ様がいるので、ルークは賢い子。 いろいろと教わっています。 でも長髪ベースなので、ツンデレしてます。 長髪ベースの短髪っぽい感じで(このくらいのルークが好き。でもやっぱり長髪スキー 戦国世界の彼らは色々と規格外なので、多分キムラスカの言いなりにはなってないでしょうね。 こっそりお忍びでルークが屋敷を抜け出してたり、そのとき護衛の幸村がルークルーク言うのでばれちゃったりとか。 幸村と慶次とルークの組み合わせが好きです。 あ、そういえばガイがいない(オイ お題はTV様よりお借りしました。 2010.06.15. |