【夢と現実の狭間に見る未来】







 夢を見ているんだと思った。


 目の前に広がる景色は今まで見たことのないものばかりだし、人間じゃないひともたくさんいる。
 遠くに見える空まで届きそうな建物は何なんだろう。どうして猫が二本足で歩いているんだろう。
 そう考えたときに、真っ先に思い浮かんだのは夢だった。変な夢を見ているんだ、そう思った。
 夢の中なら何したって痛くないんだと教えてくれたのは先生で、ほっぺたをつねって痛くなかったら夢だって言って、思い切り俺のほっぺたをつねったのは晋助だった。
 ほっぺたをつねってみる。……痛かった。夢なら痛くないはずなのにな。
 まあいいか、と思い直して、見慣れない町をこっそり歩いてみる。
 夢なんだから何したって構わないだろう。俺の髪が珍しいのはわかっているから本当にこっそりだけど。
 大きな町には行ったことがないから、見るものすべてが新鮮だ。店も家も立ち並んで、人が忙しなく歩いている。祭りのときのような騒がしさだ。空だけが見知ったそれでわけもなく安心した。
 よくよく見ると、猫だけじゃなくて犬とかが二本足で立っているのもいた。でも、ちゃんと四つ足で歩く猫も犬もいる。変な着物着ている人ばっかりだし、建物もなんか変だ。
 本当に何なんだ、ここ。






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 しばらく歩きまわる。
 見たことないものばかりだ。ここは先生の塾の近くじゃないらしい。歩いても歩いても、先生どころか小太郎も晋助も見当たらない。知り合いもいない、いつも持っていた刀もない。
 うまく息ができなくなって、ぎゅっと胸元を握りこんだ。
「あ」
 銀色の髪。
 遠くだけど、確かに銀色の髪を見た。多分、俺と同じ天パだった。着ているのは着物と変な着物とを足して二で割った感じ。変な着物よりもっと変な格好だ。腰には、練習の時に使う木刀を差している。刀のようなものを持っている人を見たのは初めてだ。
 あんな髪の人いるんだ。
 なんだか気になってその人を追いかけることにした。
 近づいていってみると、なんとなくその人は俺に似ているように思えた。目が赤いし、本当に天パだったし。
 もしかして、この人……俺の親父、なのかな。
 親父(仮)がきょろきょろして、俺は急いで物陰に隠れた。何かを探しているみたいだ。
 そのまま眺めていると、奥の方から人がやってきた。茶色い髪をした、親父(仮)より若い感じの男の人。町を歩く人の中にいた変な着物を着ている。髪以外は真っ黒だ。腰には刀を差している。
 親父(仮)がどこか嬉しそうな様子で駆け寄っていく。男の人も嬉しそうだった。
 ここからじゃ話の内容は聞こえないけど、どっちも楽しそうだ。
 二人は建物と建物の間の細い道に入っていく。俺もこっそり追いかけた。
 人も通らなそうなこんな場所に何の用なんだろう。男の人はにこにこと笑っていて、親父(仮)も嬉しそうで。その眼差しは、先生が俺たちを見るときの眼差しに似ていた。
 人気のない建物の裏で、二人は立ち止まる。ここに何かあるのかと思ったけど、何か気になるものがあるようには思えなかった。そのままついて行ったら見つかる気がして、ゴミを捨てる入れ物の傍に隠れた。顔だけ出すと親父(仮)の顔が見える。声は聞こえない。
 男の人が何かを言って、親父(仮)が慌てた様子で男の人と距離を取ろうとする。でも、すぐに男の人に手を取られて壁に押し付けられた。二人の距離が近い。何か乱暴されてるのかもしれない。思わず物陰から出そうになったけど、そのあとの二人を見て動けなくなった。
 親父(仮)は壁に押し付けられているのに、男の人の首に腕を回して抱きついている。顔も赤くて、肩で息をしているみたいなのに。
 喧嘩してるんじゃないの?
 そこまで考えて、はっと思い至った。
 口付け、してるんだ。て、ことは、……あの人……実は女で俺の……母親だったのか……!!!
 俺が言葉を失くすのをよそに、二人の行為は進んでいく。着物を脱がされて、その間にも口付けは続いて。見つかるとか、隠れなきゃとか、そんなこと考えられなくなって、知らず知らずのうちに立ちあがっていた。
 ガタン、と大きな物音がする。音に気付いた母さんと目が合った。俺と同じ赤い瞳が見開かれて俺を映す。
 思い切り息を呑んだ。






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「……き、銀時!」
 はっと息を呑む音で我に返る。目の前には心配そうな顔をした小太郎と不機嫌そうな顔をした晋助がいた。
 あれ、俺さっきまで人のいない建物の裏にいたはずなのに。
「どうした、銀時。うなされていたようだったが、悪夢でも見たのか?」
「こんな昼間っから寝てっから変な夢見んだろうが」
「変な夢じゃない、悪夢だ」
「変わんねーだろ」
 夢、と言われて、さっきまで見ていた二人を思い出した。
 俺の母親、かもしれない人。
 本当に夢だったのかな。
 ほっぺたをつねってみると、やっぱり痛かった。






+end+






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意味不明になってしまいましたが、とりあえず完成しましたー!
ついったでお世話になっている猫月さまから原案いただきました。
ありがとうございます!
ワガママ言って書かせてもらったんですが、私が書くと萌えない不思議(´・ω・`)
文才ほしい。






2010.10.03.