布団の中、寝返りをうった銀時は枕元にある携帯電話に手を伸ばした。
「きてない、か……」
 残念そうにため息をつく。
 開いた携帯には、着信もなければ新着メールもない。彼が今何をしているのか、知る術がない。
 しばらく携帯を持って待ってみるが、何の反応もなく。仕方なしに、銀時は携帯を枕元に戻した。
 布団に入ってから約1時間、銀時はずっと同じことを繰り返している。
 枕元に置いた携帯電話を手に取り、着信がないことを確認してから元に戻す。10分も経たないうちに、また携帯を手に取る。
 それを、何度も。
 女々しいのだということは、銀時自身理解していた。
 彼は絶対に何かしらの連絡をくれる。彼の携帯からの着信音はすべて特別で、他と間違えるはずがない。
 だから銀時は、彼だけの特別な着信音が鳴るのを待っていればいいだけなのだ。
「う〜……」
 苦みを含んだ声で唸り、銀時はうつ伏せになって携帯電話を睨みつけた。
「なんで来ねぇんだよ……」
 待っているだけ。ただそれだけでも、銀時には耐えられなかった。
 ただでさえ最近は彼の仕事が忙しくて、逢瀬すら叶わないのだから。
 1日1回の着信だけが、募る寂しさを軽くする魔法。
 早く早くと、心ばかりが急いてしまう。
「これ以上遅かったら寂しくて死んじまうぞコノヤロー」
 本人の目の前では絶対に口にしないセリフを呟いた途端、携帯電話が音楽をかき鳴らした。ただし、彼ではなかったが。
「ったく、何なんだよ、こんな時間に……」
 鳴り続ける音楽を止め、電話に出る。もしもしと言った声は、いつも以上に気怠げだった。
『もしもし、旦那ですかィ』
「……ッ!」
 予想外の声に、一瞬息が止まる。咄嗟に返事ができなかった。
『旦那?』
「…あ、何?」
 訝しげな声に呼ばれて、銀時は我に返る。ぶんぶんと頭を振って、気を取り直した。
『何って……寝てたんですかィ?』
「ね、寝るわけないだろ! 沖田くんからの連絡もないのに、あっ!」
 思わず口を押さえたが、時既に遅し。
 耳に届く笑い声から沖田の笑顔が容易に想像できた。
 恥ずかしい…。
 顔が熱を持ったのがわかった。
『まったく旦那は……そんな可愛いこと言われちゃ、忘れらんねェじゃねェですかィ』
 忘れたら朝まで起きていそうだと言う沖田に、銀時はそんなわけあるかと憎まれ口を返した。
(けど、実際やるよな。うん。絶対やるよ、オイ)
 それほど沖田に惚れているのだ。
「ちょ、沖田くん笑いすぎ! 恥ずかしいだろーが!!」
『だって旦那、すっげー可愛くて……』
「可愛くなんかない!」
『可愛いでさァ』
 急に真剣味を帯びる沖田の声。銀時も神妙になってしまう。
『旦那は可愛くて綺麗な俺の自慢の恋人でィ。愛してますぜ、銀時さん』
 若さ故に、ぶつけられる想いはあまりに真っ直ぐで。捻くれてしまった自分の心に、痛いほど突き刺さる。
 しかし銀時は、その痛みが嫌いではなかった。
 沖田だからこそ得られた恋の痛み。彼とともに過ごして得られる痛みなら、それも悪くない。
「……俺もね、総悟くん。愛、してるよ…」
 顔が見えなくてよかったと、銀時は心底思った。






+end+






+++++



ゲロ甘沖銀でございます(笑)
沖田くん相手だと何故か銀さんは乙女になっちゃいます。
目も当てられないくらいイチャつかせやすいんですよね、この2人。
土方さんとは片思い両思いのことが多いですが(しかも中途半端なのでupできない(悲)
でもやっぱり沖銀が好きvV
マイナーでもいいさ!












+オマケ+



「ところで沖田くん。その携帯沖田くんのじゃないよね?」
『ええ。ちょうど携帯忘れて市中見回りに出ちまって……土方さんの借りたんでさァ。ねェ、土方さん?』
『うるせぇよこのバカップル! さっさと電話切れ!!』



全部聞いてた土方さん。






2008.4.13.