今日、十月十日は俺の誕生日だ。恋人の誕生日なんだから、沖田くんからは当然何かあるんだと信じていた。沖田くんの誕生日にはささやかながら誕生日プレゼントってやつを渡したりもしたし、沖田くんに限って俺の誕生日を忘れるはずがない。
 そう信じていた、のに。
「あれ、銀さん、目の下に隈ができてますよ」
 朝、いつものようにやってきた新八に真っ先に指摘された。俺はいつもの椅子に座ってジャンプを読んでいたのだが、朝の挨拶よりも先に告げられた言葉に馬鹿正直に肩を揺らしてしまった。
 それだけで何が理由かわかってしまったらしい新八は、呆れを含んだため息と裏腹に心配そうな表情を向けてきた。最近生意気になってきたけど、こういうところはいい子だ。
 続いて起きてきた神楽にも同じことを言われた。隠すつもりもない俺と沖田くんの関係は万事屋はもちろんのこと俺と沖田くんを知っている人はみんなが知っている。特に神楽は沖田くんのことを嫌っている節があるから、かける言葉は辛辣だ。
「あのサドチビ、どうせ銀ちゃんの誕生日なんて忘れてるに決まってるネ」
 ぐさり、と言葉が突き刺さる。表情を曇らせた俺に、慌てて新八がフォローを入れた。
「もしかしたら忙しいだけかもしれませんよ」
「忙しくたって一番に祝いに来るのが恋人ってものアルよ。サドチビはやっぱり銀ちゃんの恋人にはふさわしくないネ」
 楽しそうな神楽とは対称的に、俺はどんどん落ち込んでいった。
 日付が変わった瞬間に一言、なんて乙女チックなことを考えていたわけじゃないけど、きっと朝一番には何かリアクションがあるだろう、と期待していたのも確かで。昼になっても、はたまた夜になっても電話の一つさえないという状況は、確実に俺にダメージを与えていた。






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「銀さん、大丈夫ですって。絶対に沖田さんは誕生日祝ってくれますから」
 誕生日を祝いに、というよりそれを口実にドンチャン騒ぎしたいだけで万事屋に集まったメンツが騒ぐ中で、俺は未だに気分が落ち込んでいた。もちろん、祝いに来てくれた奴らのおかげで朝よりは浮上している。妙も九兵衛もさっちゃんも、祝いに来たというよりは騒ぎに来ただけだけど。
 けど、同じ真選組のゴリラや多串くん、ジミーまで祝いに来てくれたっていうのに、肝心の沖田くんがいないことが俺の心にどんよりしたものを落としていた。新八の慰めの言葉も、あまり効果はない。
「万事屋ー、今日はお前の誕生日なんだからお前が呑まなきゃ始まらないだろう!」
「銀さぁん、私がお酌してあ、げ、る」
「僕も、お酌するぞ?」
「あら九ちゃん、九ちゃんがわざわざそんなことしなくていいのよ。銀さんなんか手酌で十分だわ」
「銀ちゃんいつまで落ち込んでるアルかー。銀ちゃんもいっぱい呑んであんな男忘れるネ」
「ちょ、神楽ちゃん傷抉るようなこと言わないの!」
「……あー、呑んで忘れろ」
「アンタもか!」
 ゴリラ、さっちゃん、九兵衛、妙、神楽、新八、多串くん、ジミーが落ち込んだ俺を励まそうと話しかけてくる。最後の方励ましてないけど。
 だけど、ぎゃいぎゃい勝手なことを言うこいつらの言うことを聞いているうちに沖田くんに対する怒りが湧いてきて、俺は傍に置いてあったお猪口を飲み干した。
「そーだよね。なぁんで俺が沖田くんに振り回されなきゃいけねーんだっての!」
「そうアルよ!」
「もう沖田くんなんか知らねー!」
 俺が叫んだそのとき、万事屋の電話が鳴り響いた。思わず動きを止めて、電話を注視する。騒いでいた奴らもしんとなって電話に目を向けた。
「もしもし」
 電話に出たのは新八だった。一言二言話して、俺に替わるように言う。
「もしもしー?」
『旦那ァ』
 電話に出た俺は目を見開いた。電話をかけてきたのは沖田くんだった。
『今日一日連絡もしねェですいやせんでした』
 まったく心のこもっていない謝罪に思わず怒鳴りつけそうになったが、その前に沖田くんが言葉を続ける。
『でも旦那、おかげで今日一日ずっと俺のこと考えてたでしょう?』
「ばっかじゃねーの!」
 告げられた言葉に沖田くんの思惑がわかり、反射的に怒鳴りつけた。まさか怒鳴るとは思っていなかったのだろう、沖田くんからの反応はない。
「今すぐ万事屋来なかったら別れるからな!」
『ちょ、ま、旦那ァ!?』
 返事も聞かずに電話を切る。今まで固唾をのんで見守っていたらしい新八たちに向き直り、多串くんが持っている酒を奪い取った。多串くんが好むきつい酒を一気飲みして、へらりと笑う。
「今日は呑むぞー!」
「おおーー!!」
 叫ぶとみんなが返してくれる。手当たり次第に酒を開けた。手元の酒はさっちゃんや九兵衛によって絶え間なく注がれている。沖田くんが慌ててやってくるのを、俺はなんだか楽しい気分で待つのだった。






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銀時誕生日おめでとう!!
銀時愛してる!!
私の腐&オタク人生は君から始まった!
何度愛してるって言っても言い足りないくらいだけど、銀時愛してる!!!
そして、銀時を生み出してくれた空知先生に感謝を。






2011.10.10.