「――――ッ!」
 布団をはねのけて、体を起こした。繰り返す呼吸は荒く、心臓が全速力で駆けていた。
 怖いと、思った。
 たかが夢だと蹴り飛ばす余裕もなくただ、怖い、と。
 普段なら何ともない暗闇に大きな恐怖を感じる。背中を流れる冷や汗が気持ち悪かった。
 怖くて怖くて、神楽は押し入れを出た。向かうのは、銀色の彼の元。
 バカにしてもいいから、くだらないと笑ってもいいから。
 だから私を抱きしめて。
 安心をちょうだい。






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 当然のことながら、銀時は熟睡していた。時計は見なかったが真夜中であることに変わりはなく、銀時が起きているはずもない。
 彼の部屋を覗き込んで、神楽は恐る恐る呼吸をする。起こそうと思えば起こせるのに、何故だかそうできなかった。
 さっき見た夢のせいだろうか。
「なーにやってんの、神楽ちゃん」
 不意に声をかけられて体が強張った。眠たげな目と視線が絡み合い、泣きそうになる。
「おいで、神楽」
 何を思ったのか苦笑を漏らした銀時が布団をめくって隣を指し示した。
 自分のために開けられたスペース。
 神楽はほっと息をついて銀時の布団に潜り込む。冷え切った体に銀時の体温は暖かい。
「……夢を、見たネ」
 しばらくの沈黙のあと、神楽が唐突に口を開く。手は無意識に銀時の服を握っていた。
「私はかぶき町にいて、いつもみたいに公園で遊んでたネ。でも、誰も私のこと気付かなかったヨ」
 声をかけても、足を引っかけて転ばせても、殴ってみても。誰一人として、神楽を認識しなかった。
「私怖くなって、万事屋に帰ったアル。銀ちゃんも、新八も、定春も……私に気付かなかったネ。私がいるのが嘘みたいだったアル」
 言葉を紡ぐ声が揺らいだ。
 何度名前を呼んでも応えなかったのは夢の中の彼で、決して今目の前にいる彼ではないのに。
 もしもこうして話している今が、夢だったとしたら。神楽がいないことが、現実だとしたら。
そんな想像が脳裏をよぎる。
「怖かったアル。……私ホントにいなくなっちゃったんじゃないかって……」
 恐怖に満ちた声を遮るように、銀時が神楽を抱きしめた。
 同じリズムで背中を撫でる銀時のそれは、子供をあやす時のそれで。確かに自分はここにいるのだと、安心させてくれる。
「お前が見たのは全部夢。何にも心配するこたァねぇよ」
 低音が体中に染み渡り、微かに残った恐怖さえ吹き飛ばしてくれる。まるで縋るように、銀時に手を伸ばした。
「な? 神楽」
 優しくて強い、大好きな人。
 貴方が名前を呼ぶだけで、自分が確かになる。
 揺らぐことのない強い自分になれる。
「銀ちゃん、もっと名前呼んでヨ」
 もう怖い夢なんて見ないくらいに、ずっと強い自分になるから。






+end+






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駄文警報発令中でございます…
なんかもっといいお話にするつもりだったのに……?
頭の中に浮かぶものを形にするのは難しいですねι
こんなところまでお付き合いくださりありがとうございました。
お目汚しすみませんんんん!!






2008.2.23.