文系であるはずの銀時の最大の悩みは、レポートを書くことだった。
 意見を述べなさい、だの、問題について述べなさい、だの、何を書いていいのかさっぱりわからない。高杉なんかは適当に書いておけと言うし、桂は自分の意見をしっかり持っているからレポートを書くのに困ることはないだろう。
 惰性で生きる自分ばかりが、自分を確定できなくて動けなくなる。しかも中途半端に真面目なものだから、高杉のように綺麗な言葉だけを並べたてることもできない。もっというならそれだけのボキャブラリーもない。
 こういうとき、理系学部に進んでおけばよかった、と心底思うのだ。
「だとしたら、今みたいにぐうたらな生活できませんぜ?」
「それは困るけどさー……」
 食堂の隅で、持参したノートパソコンとにらめっこを続けながら、銀時は唸る。
 今回のレポートの課題は「博物館が抱えている課題について述べなさい」だ。博物館が抱えている課題って何だ。そもそも、博物館って何だ。
 万年金欠で家でごろごろしているのが好きな銀時には、博物館というもの自体が身近なものではない。この間の授業で美術館や動植物園も博物館に入ると知って驚いたくらいだ。
「レポートって何ですかって話だよ。課題について何を述べりゃ単位くれるんですかコノヤロー!」
頭を抱えると、くすくすと笑い声が聞こえた。じとり、と銀時は前の席に座る沖田を睨みつけた。
「沖田くんはいいよね。理学部にこんな文章書くレポートないし」
「そりゃ文章ばっかってのはないですけどねィ。実験の回数とレポートの量がハンパないですぜィ。忙しくて滅多な休みもねェや」
「うぁ、それもヤダ」
 学生である限り、面倒なレポートからは離れられないわけで。
 大きなため息とともに腕を枕に机に倒れ込むと、すかさず沖田が銀色の髪に手を伸ばした。くるくると跳ねてばかりの髪は、例に漏れず沖田の指に絡まる。何が楽しいのか、沖田はずっと銀時の髪をいじっていた。
 その手つきがあまりに優しくて、あまりに甘さを含んだものだったから、銀時は慌てて身を起こした。驚いた様子の沖田に向かって、両手で握り拳をつくってみせる。
「よしっ。気合い入れて頑張るか。悪いけど、今から話しかけないでね。集中するから」
 釘をさしておいて、パソコンに向き直る。インターネットを起動させて適当な記事を探した。授業のテキストを引っ張りだすのも忘れない。
「わかりやした。じゃあ、銀時さんのこと見てまさァ」
 頷き一つで返ってきた答え。
 それじゃ意味ないんだけど、という言葉は呑みこむことにした。






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レポートが終わらないのは私です……!
博物館の課題云々も実話。
明日までに終わるかなー。
というか、高杉の誕生日に沖銀を書く私って……。






2010.08.10.