7月7日の晩、見回りの最中に、沖田は土方の目を盗んで見回りを抜け出した。
 歩き慣れたかぶき町を早足で通っていく。七夕の夜ということもあり、かぶき町は道行く人が多かった。人と人の間を縫うように、沖田は足を進める。
 そろそろ日付が変わってしまう。急がなくては。
 早足だったのが、だんだんと駆け足になっていく。人にぶつかるのも気にしない。早く早くと気が急いて、最終的には全力で走っていた。
 だって、一番はあの人がいいから。あの人に、会いたい。






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 万事屋についたときには、沖田は肩で息をしていた。息切れを必死で押さえこんで、時計を見る。急いだおかげで、まだ日付は変わっていなかった。
 どうにか息を整え、万事屋の戸を叩く。数度叩くと、中で人が動く気配がした。
「こんな時間にどちら様ですかー。うるせぇんだよ」
 不機嫌そうな顔で、不機嫌そうな声を出しながら、万事屋の主が現れた。今まで寝ていたのか、口元に涎の跡が残っていた。
 彼は沖田の姿を見ると、不機嫌な顔を一転させて驚いたように目を瞬かせた。
 一番会いたかった人が目の前にいる。
 沖田は苦しかったのも忘れ、銀時に抱きついた。
「え、沖田くん……って、えぇ!?」
「旦那、会いたかったです」
「あー……俺も」
 甘えたような声音で囁けば、恥ずかしそうな声とともに銀時の腕が背中に回る。とんとん、と優しく背中を叩かれた。久しぶりの銀時に、沖田は彼の首筋に頬を擦りつける。どことなく甘い香りにくらくらした。
 と、突然軽快なメロディが鳴り響いた。肩が跳ね、沖田と銀時は思わず体を離した。沖田は慌てて懐から携帯を取り出し、電源を切った。
「何、今の」
「すいやせん。時間気にしてたもんで」
「時間?」
「もう日付変わっちまいました」
 沖田がそう言うと、銀時は納得した顔つきになった。何を言いたかったのか、十分伝わったらしい。額に唇が落とされた。
「誕生日おめでとう。とりあえずプレゼントな」
「とりあえずってなんでィ。まさかこれだけじゃねェですよね?」
 笑顔の彼に向って、沖田は不満そうに口を尖らせた。先程唇が触れた額に、今度はデコピンが当てられる。むすっと見上げると、銀時は悪戯っぽく笑った。
「とりあえずって言っただろ。お前が来るの早すぎんだよ。夜だったら料理作って待ってたのに」
「だって、一番に会いたかったんでさァ」
 7月8日は、沖田の誕生日だ。もちろん真選組でも祝ってもらえるが、日付が変わるというときに、会いたいと思ったのは愛しい恋人だった。
 子供っぽい理由だと、わかってはいるのだ。けれど、一番は銀時がいい。
 油断しまくりの銀時を抱き寄せる。触れた唇はやはり甘かった。
「一番はやっぱり、アンタでないと」
 啄ばむようにキスを繰り返すと、銀時はくすぐったそうに身を捩った。それでもなお、甘い唇を追いかける。
「というわけで旦那。誕生日プレゼントくだせェ」
「……そんなんでいいの? もしかしたらもっといいもの準備するかもしれないよ?」
「旦那に金がないのは十分承知してまさァ。それより今は、自分に正直になろうかと思いやして」
「……若いね」
 銀時は小さくため息をついた。呆れていると取れるわりに、銀時の顔は真っ赤だった。
 何度目かの唇が離れると、沖田から逃げるようにリビングの方に向かう。ここが玄関だということを思い出したらしい。しかし、沖田から逃げながらも、そこ閉めとけよ、と付け加えるのも忘れない。
 沖田は嬉しそうに笑みを深めて、足早に中に入っていく銀時を追いかけた。






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happy birthday! 沖田くん!
永遠の18歳ですね(笑)
でも、そこがいいんだと思います。
銀さんとは永遠に埋まらない年の差。
悶々としてればいいよ!←






2010.07.04.