一か月ぶりくらいに、高杉が万事屋に来た。
 来るときは毎日のように来るくせに、来ないときはとことん来ないから、銀時も少し気になっていたころだった。それが高杉だとわかっていながら、それでもムカついたからしばらくチャイムを無視してやったけれども。
 存分に腹いせをしてから玄関の扉を開けると、高杉は拗ねたような泣きそうな顔をして思い切り飛び込んできた。銀時の背中に腕を回し、首筋に頬をすり寄せてくる。まるで飼い主に久々に会った犬のようだった。
 銀時はそれを受け止め、よしよしと頭を撫でてやる。先程まで怒っていたのも、一瞬にして霧散してしまった。
「高杉ー。寂しかったのはわかるけど、中移動しようぜ」
 高杉の頭を叩き、移動を促す。しかし、高杉はふるふると首を振って拒否を示した。銀時は困ったように眉尻を下げる。
 会いたかったのは銀時も同じ。会えたからには、少しでも触れていたいのも。離れたくない気持ちは痛いほどわかるけれど。
「高杉、玄関先で突っ立ってらんねぇよ。くっついたままでいいから中入れって」
 玄関先で立っているわけにもいかない。誰が入ってくるかもわからないのだ。ここ最近は真選組のトップも頻繁に来るようになったし。
 くっついて離れようとしない高杉を引きずって、客間兼リビングに向かう。銀時はソファに座って、高杉は銀時に縋りつく形でソファに凭れかかった。途端に高杉は、首筋、頬、瞼とキスを降らす。
「ん、くすぐってぇって」
「銀時ィ」
 くすくすと笑って身を捩るが、高杉は逃がしてくれない。銀時が目を開けると、不意に名前を呼ばれた。
「何。つか、今日の高杉、甘えたじゃね? 何かあったの?」
 銀時は疑問を口にするが、高杉は答えず、別の言葉を口にする。
「名前で呼べよ、銀時」
「はぁ? まあいいけど。晋助。これでいいのかよ」
「ああ」
 それきり、高杉は黙ってしまった。言葉の代わりに柔らかい唇が何度も何度も触れる。
 額と、瞼と、頬と。
 それから唇に。
 優しいそれが銀時の呼吸を奪った。
「ん、んぅ……」
「銀時ィ。好きだ」
 キスの合間に囁かれた愛の言葉に、銀時は体が熱くなるのがわかった。心臓が不規則な音を立てて駆け回り始める。
 そんな銀時の様子も知らず、高杉からのキスは続いて。高杉が満足して唇が離れた頃には、銀時は軽い呼吸困難に陥っていた。
「……はぁ、もう、何なんだよ」
 呆れた表情で尋ねる。高杉は答えず、また顔を近づけてきたので、両手で頬を包んで阻止した。
 隻眼が鋭く銀時を睨む。だが、それに屈する銀時ではない。素直に言わなきゃ嫌いになるぞ、と告げた。
「……寂しかったんだよ。テメェに会えなくてなァ」
 そもそもテロリストとして真選組に追われる立場であり、かつその思想のために奔走している身であって、一か所にとどまれることなど滅多にない。それでも、かぶき町にはとどまっている方だが、下手をすれば高杉の身だけでなく銀時の身も危うくしてしまう。だから仕事がなくともかぶき町から離れていることがあるのだ。
 しかし、高杉は実は甘えん坊である。特に、銀時に関してはその傾向が強い。理不尽な要求は構ってほしいからだし、無理やりな行為も自分を見てほしいからだ。
 そんな高杉が、仕事でもないのに大好きな恋人である銀時と離れていられるはずがない。一か月も離れていて、その反動のように甘えているのだろう。
 高杉の気持ちが手に取るようにわかってしまった銀時は、思わず苦笑を漏らす。
「素直でよろしい」
 俺だって寂しかったんだよ、と気持ちを込めて銀時からキスをしてやった。触れるだけのはずだったのに、後頭部を押さえられて深いものに変わる。今度は舌まで入れられて、全身から力が抜けた。
「銀時ィ、なあ」
 崩れ落ちる銀時の体を支えながら、高杉が訊く。その手は怪しい手つきで銀時の体のラインをなぞっていた。特有の甘い声で囁かれ、銀時は動けなくなる。
「ば、バカじゃねーの。訊かなくてもわかれ、んなもん」
 憎まれ口を返して、高杉の首に腕を回した。嬉しそうに笑う高杉に急に恥ずかしくなり、何かを言われる前にと、自分からその口を塞いだ。






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映画を見に行ったので、高銀が書きたくなりました。
甘えたな高杉は可愛いなあと思いまして。
万事屋に来たら銀さんにべったりだといいよ。
ちなみに、神楽ちゃんと新八は道場に泊まりに行っています。
だから銀さんも素直に乗ったという←






2010.05.03.