蒸し暑い夏の日に、銀時は何を思ったかカレンダーを見てしまって。
 忘れていたはずの日を思い出した。
(ああ、今日はアイツの……)
 無表情に頭を掻いて、銀時はふらりと外に出た。






【今年も貴方と】






「銀ちゃんっ甘い匂いするアル! 一人で食べるなんてズルイヨ!!」
「食べてねぇって」
 キッチンに立ち今日のための準備をしていると、匂いを嗅ぎつけた神楽が突撃してきた。それを片手であしらってご機嫌取りに使い終わった生クリームを舐めさせてやる。
 現金な子供はそれで満足したらしい。顔を生クリームでベタベタにしながら嬉しそうにしている。
「銀ちゃんがケーキ作るなんて珍しいアルな。今日は何の日〜?」
「うるせーよ」
「はは〜ん……わかったアル。彼氏アルな」
「違…ッ!」
「銀ちゃんも年頃の男アルからな〜彼氏がいてもおかしくないアル」
 図星をつかれて頬を染める銀時に神楽はニヤニヤと笑って詰め寄った。男同士の恋愛に偏見はないらしく、むしろ当然のような言い種だ。
 逃げても逃げても迫ってくる神楽にさすがの銀時もブチギレる。
「そうだよ悪りぃか! 銀さんにだって浮いた話題の一つや二つあるんだっての!」
 言ってしまってから、背筋に冷たい汗が伝うのを感じた。神楽がこの上なく凶悪な顔で笑っている。ものすごく嫌な予感がする。
「仕方ないアル。今日は新八のところに泊まるネ」
「ちょ、別に…」
「遠慮しなくていいアルよ、銀ちゃん。じゃ、パピーによろしくヨ」
 ちゃっかり万事屋の父親なアイツに、じゃあ俺がお母さんかと思い悩んでしまった。






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 待ち人が来たのは、夜も更けてから。あと30分もしないうちに日付が変わってしまう頃だった。
「よォ、銀時ィ」
「遅ぇよバーカ」
 当たり前のように高杉はソファに座り、銀時を隣に座らせその腰を抱いた。いつもならすぐに振り払うのだが、今日だけはと銀時も甘受する。
 だが、腰を撫で回す手が怪しい。やっぱり引き離してしまおうか。
「もう8月10日終わっちまうじゃねーか」
「鬼兵隊でもいろいろあったんだよ」
「ソーデスネー。晋助くんは人気者ですもんネー」
 少しイラついたような気分になるのはきっと、一番に祝うのが自分ではないからで。この男が何より優先するものが自分ではないのが悔しいと思ってしまうのだ。
 普段はむしろ銀時の方がつれない態度をとっているのだがそれは棚に上げておく。
 銀時が拗ねたのを見て取ったのか、高杉は低く笑う。
「ヤキモチかァ?」
「違いますー。冷めちゃった料理が可哀相なだけですー」
 テーブルの上には高杉のために作られた料理が所狭しと並べられている。少ない金で買った食材で心を込めて作ったのだ。これくらいしかプレゼントになりそうなものがないから。
「料理なんかよりテメェが喰いてェ」
 耳元で囁かれる。熱い吐息にぞくりと肌が粟立った。
「たかす…」
「喰わせろよ、誕生日だろ?」
「……」
 そう言われてしまうと何も言い返せない。沈黙を肯定と取ったのか、高杉が銀時を押し倒した。
「ヤキモチやく余裕なんかなくしてやらァ」
 少しだって他に視線が向くのは気に食わない。
 そんな言葉が聞こえてきたような気がした。
 柔らかなキスに目を細めて、銀時は高杉の首に腕を回した。
「高杉、」
「名前で呼べ」
「晋助」
 いつも高杉だけを見てきた。高杉が先生に夢中になっている間もずっと。
(心配しなくたって、俺の目にはお前しか映んねぇんだよ)
「誕生日おめでとう」
 今年も一緒にいてくれてありがとう。
 柄にもなく顔を赤くした高杉に、銀時はちゅっと音を立ててキスをした。






+end+












オマケ



「そういやお父さん、神楽がよろしくだとよ」


「あァ…酢コンブでも買ってやるかァ…」


「いやいやいや、そこはツッコめよ」



 万事屋に家族が増える日は近いかもしれない。






+end+






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書きながら途中で眠ってしまった……!
あとがきのテンションが違いますがお構いなく←


高杉様お誕生日おめでとうございます!(敬語
受験勉強放り出して祝いますね!!
それにしてもこんなに甘い高銀っていうのもどうなんでしょう。
甘いのしか書けないから仕方ないけど!!
高杉様偽物ですが気にしないでください←




えと、もらう人なんて誰もいないとは思いますが一応フリーでございます。
8月24日くらいまで。
報告は任意です。


※フリー期間は終了しました






2008.8.10.