久々に時間がとれたというので、沖田から連絡が入った。
 今から暇ですかィ、なんて。銀時が暇なのを知っていて言うのだから、沖田は大概意地が悪い。
 沖田が万事屋に来ると言っていたのだが、銀時がなんとなく外に出たい気分だったので、銀時の方から出向くことにした。そう言ったとき、沖田はひどく驚いていた。
 そして屯所について、土方に突っかかられて、山崎に愚痴られながら、沖田の部屋に行く。やっと落ち着いた頃には、沖田の機嫌は少なからず悪かった。
 あからさまに不機嫌を訴える沖田の頭を、銀時はくしゃりと撫でた。すると沖田がますます眉を顰めた。どことなく拗ねているようにも見える。
「そういやアンタ、よく俺の頭撫でますよねィ」
「え? そうだっけ。あんまり自覚ないからわかんないんですけど」
 言われて気づいた。
 銀時は、気づけば沖田の頭を撫でてしまう。多分、気づけばというくらいだから、自分が自覚する以上に撫でているのだろう。
 それは子供たちにするそれと似て。
「なんでですかィ? ちなみに、子供扱いとか言ったら地獄行きでさァ」
「え、ちょ、何その宣言。何する気!? 子供扱いじゃないから!」
 ニヤリと笑う沖田に嫌なものを感じて、銀時は慌てて言い募る。沖田の目は本気だった。
「それが嫌ならちゃんと答えてくだせェ」
 未だ沖田の頭を撫でたままで、銀時は考える。銀時の髪とは違うストレートの髪は、絡まることなく指をすり抜けていく。
「あー……本当に子供扱いじゃない、と思う」
 さらり、流れる髪に、銀時はふと優しい過去を思い出した。
 ずっとずっと昔に、幼馴染に同じことをしたことがあった。
 確か沖田と同じくらいの身長で、よくつるんでいた四人の中で高杉が一番小さかった。高杉がそれを気にしていたのを知っていたから、銀時はよく彼の頭を撫でてからかったのだ。
 当然高杉は怒って、銀時に便乗して坂本も頭を撫でた。沸点の低い高杉が怒鳴ると、今度は桂がうるさいと注意しに来て。
 そんな毎日を、繰り返していた。
 辛くて、でも楽しかった頃の、大切な記憶。
「ちょっと、旦那! ちゃんと考えてんですかィ!?」
 深い思考に沈んでいた銀時を、沖田の声が呼び戻す。
 顔をあげると、拗ねたような、けれど心配そうな沖田の顔が目に入る。それほど深く過去に沈んでいたらしい。
 苦笑を浮かべながら、離してしまっていた手をまた彼の頭に置く。さらさらの髪は幼馴染に似ていて、けれどまったく違っていた。
 過去の記憶だって、そんなこともあったと懐かしく思うだけのものだ。
「考えてるって。そうだなぁ……ちょうどいいから?」
「はあ?」
 絶対わからないだろうと確信しながら言うと、案の定沖田は盛大に眉を顰めて見せる。いつもの大人ぶった表情とは違って、その表情はひどく子供っぽい。
「このサイズっての? 沖田くんの頭がちょうどいい位置にあるから、撫でたくなるんだよねー」
 ぽんぽんと頭を叩いてやって。拗ねたような表情をする沖田が面白いので、何度もそれを繰り返した。
「やっぱ子ども扱いじゃねェですかィ!」
「違うっての。沖田くんの身長の問題だからね。沖田くんの背が低いのが悪い」
「いつか絶対、アンタの身長追いぬいて見せまさァ」
「せいぜい頑張れよ」
 憮然と言い張る沖田の頭をまた撫でて、銀時はこっそり思った。
 本当は、過去も身長も関係なくて。少しでも触れていたいから、手が伸びてしまうのだと。
 あの時と同じように、けれどあの時とは違う気持ちで、君に触れているだけなのだ。






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ふと思いついただけなので内容が全くありませんが……。
銀さんは無自覚に沖田くんに触れてるといいな。
で、沖田くんはそれを子供扱いされてると思ってればなおよし!
うちの銀さんは基本余裕がないので、こんな沖銀はなんか珍しいです。
正確には沖→←銀かも。
恋人ではないです。




2010.1.24.