「……き、銀時!」
 名前を呼ばれたような気がして、銀時はうっすらと目を開けた。
 ぼやけた視界に映る真っ黒い男。柄にもなく心配そうな表情をしているのがおかしかった。
 こみ上げる何かに押されるように男に手を伸ばす。首に手を回して抱き寄せると、土方が驚いて息を呑んだ。
「何だ……どうした?」
 答える代わりに腕に力を込める。そうして彼の動きを拘束すると、土方が慌てているのがわかった。ひどく上擦った声で銀時を呼ぶ。
 けれど銀時はそれに答えることはできなくて、ただただ腕に力を込めた。
 何、というわけでもない。
 一番近いのは不安、だろうか。
 けれどそれもはっきりとはしなくて、言葉にはできず銀時の中にわだかまる。わけもわからず、縋りたくなる。
 土方がため息をつく。もぞもぞと体を動かし、銀時の腕の中でちょうどいい位置に収まった。銀時の背に腕を伸ばし、抱きしめ返す。子供をあやすように優しく叩かれた。
 背中に回った腕の感触に、銀時はゾクリと背筋を震わせた。
「あとできっちり話聞くからな」
 今は何も聞かないでおいてやる、と、彼にしては珍しく器の大きなところを見せて。疑問は放っておけない性格をしている土方だが、こと銀時に関しては調子が狂うらしい。
 らしくない、と笑った声は、掠れて消えた。






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銀さんは何かあったとき、全部自分の中に閉じ込めちゃう人だと思う。






2010.1.24.