【名前をつけましょう】






 衝撃の出逢いから一週間。
 珍しい動物(?)がやってきたせいで真選組副長サマの部屋は大盛況し、昼夜を問わず隊士たちが訪れてはイヌと戯れて帰っていく。
 初めの頃こそ銀時に懐いて離れなかったイヌだが、一週間もたてば慣れたようで隊士たちの戯れにも応じている。
 べったりから解放された銀時はようやく息がつけた気分だった。
「そういや銀時さん」
 せっせと書類を片付けていると、イヌと遊んでいた沖田から声がかかる。振り向けば哀れな黒犬がドS王子の餌食になっているのが見えた。
「……何してんの」
「コイツで遊んでたんでさァ」
「『と』じゃなくて?」
「『で』でさァ」
 コイツと呼ばれたイヌは両手をあげて腹を晒して降参のポーズを取り、沖田はその腹の上に紙切れを山ほど載せている。キレやすいイヌは普段なら起き上がって反抗するはずなのだが、そうしないのは腹の上の紙切れが銀時の処理済書類だと知っているからだ。
「オイ銀時、これどけろ」
 かなりイラついているらしく、声に含まれる怒気に空気が震えた。が、銀時が助けてやるわけもなく。
「で、総悟、何だっけ」
「無視かコラ!」
「コイツの名前って何なんですかィ?」
 言いながら、沖田はイヌの脇を擽る。
 イヌがこの体勢に甘んじていることを知っての行動だ。イヌがピクピクと震える。
「名前? ああ、トシ」
「トシ!?」
 驚いたのは沖田ではなくトシと名付けられたイヌの方。これまで耐えていたのを振り切って身を起こした。
「呼ばれたことなんかねぇよ!」
「そーだっけ? まあいいや。お前トシね」
 有無を言わせぬ飼い主の言葉に、トシは無条件降伏する他なかった。






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