ひっきりなしに紙をめくっては印を押し、めくっては印を押す。繰り返しても繰り返しても、作業は一向に終わらない。机の上には、未だ片付かない書類が山積みになっていた。
「なんだってこんな日に仕事が入んでィ」
 リズムよく印を押しながら沖田は呟く。報告書をめくるスピードは、内容を確認しているのか疑いたくなるほど速い。
 そもそも、今日は沖田の誕生日だった。
 1ヶ月も前から休みを取って、普段真面目にしない仕事を真面目にやって。近藤にも、ムカつくけれど土方にも、1日の非番を認めさせた。
 今日1日は、あの銀色とずっと一緒だったはずなのに。
「はぁ……」
「なーにため息ついてんの」
 いるはずのない人の声に振り返ると、部屋の入り口に銀時が立っていた。手にはそこそこ大きな袋を持っている。
「旦那……なんで、」
 沖田は書類を置いて銀時に駆け寄った。触れた手のぬくもりは紛れもなく恋人のもので、知らず胸の奥が熱くなる。
「仕事入ったってこと多串くんに聞いてさ。ちょっと遅くなったけど」
 誕生日プレゼント、と彼は手に提げた袋を持ち上げてみせる。
「金もねーからありあわせで悪りぃ……んっ」
 堪らなくなって、言葉の途中で口付けた。何度も角度を変えて唇を押し付ける。
 この1ヶ月、休みもろくに取らなかった。
 触れるだけのキスなら仕事の合間にしたけれど、舌を絡める濃厚なのは久しぶりだ。ほとんど禁欲状態だった沖田の体は、正直に反応していた。
 太股に手を滑らせるが、銀時がやんわりと沖田を押し返す。
「仕事。まだ残ってんだろ」
「まあそうですが。こんなの明日で構いやせん」
「ダメだって。続きは仕事終わったら、な?」
「ってこたァ、仕事が終わったらシてもいいんで?」
「そ、そういう意味じゃねぇよっ。ほら、早く仕事する!」
 顔を真っ赤にした銀時にそう言いくるめられて、机の前に座らされてしまう。銀時は袋を近くに置いて、沖田に背を預けるように座った。
「あの、な」
「なんです?」
「こっち向いちゃダメ! 仕事しながら聞いて」
「はぁ」
 釈然としないながらも、沖田はまた書類に目を落とした。それから沈黙が続き、紙をめくる音だけが部屋に響く。
 沖田が何か話しかけようとした時、不意に銀時が話し出した。
「あ、あのな……た、誕生日、おめでと。金ないから何もやれなくて手作り料理だけど、あ、愛はこもって…んぅ!?」
 吃驚する銀時に、手加減なしにキスをお見舞いする。ついでに体を反転させ手首を掴んで押し倒した。
 覗いた顔は真っ赤になっていて、年上なのにひどく可愛いと思う。
「なんだよいきなり! つか、さっきからキスばっか……」
「そりゃ旦那が悪い」
「はぁ!?」
 無意識だろうとなんだろうと、可愛い仕草を見せたりするから。
「ちゅーしたくなる顔してるのが悪いんでィ」
 そう言って、もう一度キスを落とした。耳まで真っ赤な銀時は、もはや顔を上げられない。
「ありがとうございます、旦那。最高の誕生日でさァ」
「安上がりだな…」
「アンタがいりゃ他にはいらねェんで」
 ほら、陰鬱な気分も消えてしまった。






+end+






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こんなに遅れたけど、沖田くん誕生日おめでとう!!
銀さんとお幸せに!!←前提かい
ば、バズーカは向けないでくれるとありがたい…な…?
そんなこんなで沖田誕生日小説、7月26日までフリーでございます。
報告は任意で☆


※フリー期間は終了しました。



2008.7.12.