ソファに座った銀時の真正面から抱きつく形で、沖田は彼の膝の上に飛び乗った。肩口に顔を埋めて猫のようにすり寄る。銀時は驚いた様子を見せたが、沖田が無言で抱きつき続けていると諦めたようなため息をついた。
「今日は何? 甘えんぼさん」
 とんとん、と緩やかに背中が叩かれる。幼子を宥めるかのようなそれに沖田は背中にまわした腕に力を込めた。普段から子供扱いされていることは痛いほどわかっていたが、これほど無反応なのも物悲しい。
 無防備に晒された首筋に噛みつくことも所有印を残すこともできるのに、銀時にとっての沖田はその対象ではない。いくら口付けても子供のいたずらでしかないのだ。
 それが悲しくて、苦しい。
「沖田くーん。いい加減重くなってきたんですけど。どいてくんない?」
「嫌でさァ」
 好きだと言っても正しく伝わらないのなら、少しだって触れていたい。それさえもこの人は許してくれない。子供のワガママを振りかざして、無理やり縋りつくほかない。
「……ホントさ、どうしたの?」
 心配が滲む声音も今の沖田には苛立ちの理由にしかならなくて。銀時の体をぎゅうぎゅうと締めつけて目を閉じた。
 触れあったところから気持ちが伝わればいいのに。そんな夢のようなことを思った。
 叶うはずのない夢のようなことを。






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2011.03.23.