待ち合わせの場所について、腕時計を確認する。待ち合わせの時間まであと10分。間に合った、と銀時は小さく息を吐いた。
 恋人、という特別な関係になってから、初めてのデート。
 いつもは沖田の方から銀時の家まで迎えに来るというのに、今日は待ち合わせをしようという話になった。そっちの方が恋人らしいから、と。迎えに来てくれなんて言ってないんだし別にいいけど、と可愛くないことを言ってしまったのも記憶に新しい。
 駅前の柱に背を預け沖田を待つ。休日の駅は人でごった返している。カップルや家族連れが多いのは当然だろう。スーツに鞄の男性を見つけて休日出勤御苦労さま、とぼんやりと思った。
「旦那!」
 休日出勤らしい男性を見送ったのと同時に、待ち人の声が聞こえた。振り向くと沖田が走ってくるところだった。
 今日の沖田は黒いカーゴパンツを穿き、茶系統のチェックのシャツにジャケットを羽織っている。普段とは違った服装に銀時はしばらく声が出せなかった。
「す、すいやせん!」
 身体を起こした銀時の隣に立った沖田が、いきなり頭を下げる。銀時はきょとりと目を丸くして首を傾げた。
「え? 何が」
「旦那を待たせちまいやした。すいやせん」
 本当にすまなそうに眉尻を下げて、沖田は何度も謝る。せっかくのデートにそんなことを気にしてほしくない。銀時は視線を沖田から逸らしつつ、ぶっきらぼうに答えた。
「待ってねえっての。つーか、まだ時間あるだろ?」
「それでも、でさァ。旦那を待たせたくないんでィ」
「……あっそ」
 真剣な声で言われるそれにキュンときてしまった自分が恥ずかしくて、何でもないふりをして駅の方に視線をやった。そろそろ電車が来る時間だ。
 早く行こうぜ、と声をかけて駅に歩きだすと、隣に並んだ沖田がふわりと極上の笑みを浮かべた。
「旦那、その服可愛いですねィ。俺のためにオシャレしてきてくれたんですかィ?」
 今日の銀時はだぼっとした薄手のパーカーにインナーにこれまた緩めのTシャツを着て、下はジーパンという格好だ。メンズの服だが、全体的に明るい色でどちらかというと可愛い系である。
「はあ? ば、バカじゃねーの。調子乗るなよ。たまたまこれしかなかったんだよ。誰がお前のためなんか……」
 口ではそういうものの、銀時は今日のためにこの服をそろえて買った。一度も着たことのない新品だ。ただ、それを正直に言うのはどうしても羞恥心に邪魔された。
 そんなところもわかっていると言わんばかりに、沖田は銀時の手を取ってぎゅっと握り込んだ。
「旦那可愛い」
 可愛い、は沖田の口癖だ。沖田よりも大きくてがっしりした男である銀時に、沖田はいつも可愛いという。銀時が必死になって否定するので、最近はその頻度も減っているのだが、久しぶりに聞いてもその言葉は否定の対象だった。
「可愛いわけねーだろ! ほら、もう行くぞ!」
 繋いだ手はそのままに、銀時は沖田を引っ張るようにして歩いていく。素直ではないその態度に沖田が笑みを深めたのがわかったが、赤い顔を隠すので精一杯で後ろを振り向くどころではなかった。
 その後のデート中に何度も可愛いと言われることになろうとは、今の銀時は予想すらしていなかった。






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現パロ沖銀です!
ツンデレ銀時を目指してみました。
失敗した感が否めない……。
本当はデートしてるところまで書こうと思ってたんですが、デートって何? って私がなってしまったので書けませんでした。
デートなんてしたことないよ!
リクエストしてくださった方のみお持ち帰り自由ですー。
ありがとうございました!






2011.03.21.