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『この答えも、来週までに見つけておきなせェ』 そう言って、沖田は銀時の唇に触れた。掠める程度のそれは、銀時の唇にずっと残って。銀時からまともな思考を奪っていく。 宿題は何とか終わらせたものの、長い一週間の間にあった小テストはどれも目も当てられない点数しか取れなかった。 真っ赤に染まったテスト用紙を片手に、同じくらい真っ赤な顔で銀時は俯く。 今日は土曜日、家庭教師が来る日だ。つまり、あの日から一週間後。答えを求められるのかと思うと気が気でなかった。 銀時は極度の緊張状態の中で沖田を迎えた。しかし、沖田は先週のことなどなかったような態度で銀時に宿題の提出を求めたのだった。 一通り答え合わせをして、沖田は銀時の天パをかき回す。心臓がバクバクと音を立てる。手を振り払わなかったのが不思議なくらいだ。 「ま、坂田にしちゃできた方ですねィ。その分小テストはボロボロだったみてェだけど」 「うぐ……」 返す言葉もない。宿題もなんとかだったのだ。小テストにまで気が回るはずがない。 それにしても、だ。 どうして沖田はこうも平然としているのだろう。簡単に触れてくるし、顔色一つ変える様子もない。自分ばかり気にしているようで、銀時は怒りが湧きあがるのを感じた。 しかし、銀時の方から話を切り出すのもおかしい気がする。というか、そんな恥ずかしいことができるはずもない。 そんなこんなで、もやもやとした気持ちを抱えたまま授業を始めることになった。 +++++ 今日の授業は何故か距離が近い。解説をするにも耳元で喋るし、触れなくてもいいのに手が触れてくるし。 一週間前、沖田にキスをされて意識し始めてから、銀時の心臓は収まる気配を見せない。そんな状態なのに、どうして平然として授業が受けられるだろう。 授業が始まって十数分、銀時は立ち上がった。この状況に耐えられなくなったのだ。 「銀時?」 「もう、何なんだよ!」 怒鳴りつけるものの、沖田は何故銀時が怒っているのかさっぱりわからないらしい。きょとんとした顔で少し背の高い銀時を見上げた。 「人の気も知らないで近づいてくんなっての! 一人ドキドキしてんのが馬鹿みたいだろーが……」 急に恥ずかしくなって、椅子に座りなおして顔を俯かせる。何を口走ったんだ、と後悔してももう遅い。 隣にある気配が動くのに気づきさらに身を固くする。噛みしめた唇に沖田の細い指が触れて、びくりと肩が震えた。 「ああ、成功してたんだねィ。思い通りで何よりでさァ」 何を言われるのかと覚悟した銀時の耳に、楽しげな声が届く。反射的に顔を上げると、沖田の顔が眼前に迫っていた。 逃げようにも、背もたれのある椅子では後ずさることもできない。気付かないうちに手を押さえられて動けないのだ。 わけがわからない、と疑問符を浮かべる銀時に、沖田は答え合わせをするように説明を始める。 「ここにキスしたことで、アンタは一週間、俺のこと考えてただろィ?」 ここ、というところで、沖田は銀時の唇をなぞる。 くすぐったさとは違う感覚に襲われ思わず目を瞑った。 「アンタは俺がどんなに近づいてもちっとも意識してくれなかったから、ちょっと強硬手段に出たんでィ。もちろん、その前のあれも、寝ぼけてたんじゃなくてわざとでさァ」 ちゅ、と可愛らしい音を立てて、口づけられる。 その前のあれ、とは、沖田が寝ぼけて銀時にキスをして挙句に唇を舐めたことだろう。確かにおかしいとは思ったが、故意にキスしたとは思わなかった。 「でも、そのおかげでアンタは俺を意識した。勉強にも手がつかないくらいに」 それで、と沖田は額と額をくっつけて銀時に話を促した。 「答えは見つかったかィ?」 低く甘ったるい声。授業のときとは違う、色を込めたそれ。至近距離の顔を見返すこともできず、銀時はおろおろと視線を彷徨わせた。 全て沖田の計画通りだったとか、乗せられた自分が悔しいとか、いつからだったのかとか、近づかれた覚えはないとか、脳内だけで巡る言葉は何一つ言葉にはならず。 こくんと小さく頷いて、銀時は恐る恐る口を開いた。 「俺は、沖田さんが好き、で、沖田さんも、俺のことが、好き……?」 「よくできました」 言葉とともに、両頬を挟まれキスされる。明確な言葉は何一つなかったが、降りやまないキスの雨が言葉の代わりなのだと思った。 +end+ +++++ 二万打ヒットリクエストの年下銀さんと家庭教師沖田のその後、でした。 遅くなってしまい申し訳ありません! 二万打ありがとうございました! 一番悩んだのがタイトルだというのは内緒です(笑) リクエストされた方のみお持ち帰り可です。 2011.02.25. |